- Trinity Blood -4章
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獣と仔犬。
「あー…だめだな、すまん」
ため息と同時に、衣服らしきものを手渡して来た。
「とりあえずそれ脱げ、こっち着て待ってろ」
ここへ着て来た衣類がコーヒーで汚れてしまったのだ。
何が原因か――などと思案している場合ではない、本格的にシミになってもいけないから早く処理しないと。
慌てて代わりになるものを探してはみたが、まあ男一人で滞在している部屋だ。
娘へのプレゼントは多くあるが、着丈が足りそうにない。
差し出された衣服はシャツの様なものだったが、今はそんな事冷静に考えてはいられない事態の様だった。
実際見えるものではない為、状況が把握できない[#da=3#]は言われるままに衣服を着替える事になった。
「とりあえずお前の部屋行って、何か服持ってくるわ」
「あ…はい」
返事を聞いたのか聞いていないのかは分からないが。
レオンは足早に部屋を出て行ってしまった。
コーヒーが付いているらしい衣服を脱ぎ、レオンに手渡されたシャツに袖を通した。
服の中心部を指で確認するとボタンを一つずつ留めていく。
ふと。
風が窓を叩く。
風に当たりたいという気持ちが背中を押し、思わず立ち上がった少女は腕輪の十字架を軽く鳴らす。
窓がある事を確認して足を進めていく。
さっきレオンからはコーヒーカップが割れてしまっていると聞いたから、もしかしたら、足の裏を切ってしまうかも知れないと思いながらも、あまり気にはしていない。
ゆっくり足を進めていくと、目的の窓の少し先、1m程先から足先にふわりと風を感じる。
「ん、」
十字架を再度鳴らす。
窓の向こうに扉がある。
風が入り込む先に誘われる様に足を進めていくと、バルコニーへと繋がる扉があった。
ゆっくり開くと、風が全身にまとわりつく様に当たる。
心地良さに顔が自然と綻んでいく。
バルコニーの端へ寄って座り込むとシャツを一枚挟んだだけの素肌が石畳の僅かな凹凸を感じて少しだけ痛い様な感覚が生じた。
シャツを一枚羽織っただけの身体だから無理も無いのだろうけど。
肌着を付けているとはいえ、柔らかい肌の部分に当たる痛みは思っていたよりは痛かった。
壁にもたれて座り込む。
丁度日も当たってほのかに温かい。
先程感じていた温もりとは少し違う。
抱き締められた腕も、重ねた肌も、とても熱くて混乱してしまいそうだった。
いや、実際冷静でいる事は出来なかったと思う。
「レオン、…――」
ぽつりと、その名を呼んだ。
何度も、名前を呼ぼうとしたのに。
しかし言葉にはなかなかならなくて。
呼ばなかったらキスすると言って、名前を呼ぶまで何度も――
少女はバルコニーの隅で小さくなって座っていた。
耳に残った声を思い出す度に、紅潮して。
細腕に通されたレオンのシャツから香るのか、それとも間近にいて香りが移ったのか。
クラクラと目の前がぐらついている。
見えていない世界で、世界がぐにゃりと変形している。
微かに残る香りを振りほどく様にして左右に頭を振った。
随分大きなシャツを指が掴んだ。
どう考えてもその身体には合わないが、何もないよりはマシだ。
少女は小さく膝を抱えている。
その名を何度も、呼んだのに。
呼ぶ度に降ってくるキスの雨。
名前を呼ばないとキスをする、という罰ゲームだった筈なのにレオンは何故か容赦なく次を求めてきて。
一息、ため息をついたかと思うと、突然世界が揺れる。
見えていない筈の世界が大きく歪んだ。
次第に脱力していく身体は、思う様に力が入らない。
気持ち悪さを感じて、壁へ身体を預けた。
徐々に意識が遠のいて――
・
起こさない様に慎重に持ち上げると、ゆっくり歩く。
腕の中の少女は、シーツにでも包まっているかの様に、自分のシャツに包まれて眠っていた。
白髪が揺れるとさらりと肩から滑り落ちていく。
絹の様に流れていった髪に、喉を鳴らした。
何度も名を呼んでくれた幼い少女をベッドへ運びながら、少し急いでしまったのではないかと後悔していた。
自分が急いでしまった事を一度は悔いたのに。
間近で声を聞きながら、それでも足りなくて。
何度も、何度も。
「れ、おん…」
腹筋も使っていないような声が漏れ聞こえる。
腕の中で、今、自分の名を確かに呼んだ。
ベッドへ行くと、このまま抱いてしまいそうだ。
通り掛かったソファへゆっくり寝かせると、たった今自分の名を呼んだ愛しい唇をそっとなぞる。
逃れる様に身をよじった少女は、喉奥で小さく何かを呟いた。
眠っているのだから、言葉にならない事は理解できる。
身体に合わない大きなシャツを身に纏ったままの少女。
あまり見ていると下心が動いてしまうが、不健康そうな肌がシャツから頼りなく覗いているその足へ、目が行って仕方がない。
身体中に切り傷や銃弾痕が無数にある。
シャツの端を引っ張ろうとしても、自然と傷痕の方へと目がいってしまう。
記憶はもう、蓋をして鍵を掛けてしまっただろうが、彼女の身体には無数の記録が刻まれている。
太もも内側に火傷の様な蚯蚓腫れの様な傷を見付けると、自然と手が伸びてしまう。
傷痕をそっと、なぞる様に撫でる。
内腿の熱を持った柔らかい部分へ指を這わせるとレオンの指から逃れる様にその身を捩ると、ショーツに隠されてはいるものの局部が垣間見え――
思わず喉を鳴らしてしまう。
付け根から伸びた未だ未発達で少し不健康そうな下腿にすぐ隠されてしまったが、レオンの目には十分魅力的に映る。
レオン自身の下腹部が目の前の少女を強く求めている。
危うく理性が飛びそうになった大漢は、冷静になれと言い聞かせながら頭を左右に振った。
ソファで横になった[#da=3#]へ、2mもある大漢はその身をゆっくり近付けていく。
胸に耳をつけると、心臓の鼓動がはっきりと聞こえてくる。
心地の良いトントンという音が耳に届くと、少女の身体をゆっくりと抱き締めて。
!読んだよ!
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・
やー
あのね…
いいよね。
2005年からスタートして…
やっと夢小説らしくなってきたよね。
(苦節20年数えつつあるねんけど)
なんていうか、あんなに端から端まで女性に声掛けちゃうレオンがひたすら純粋に愛をぶつけてる不器用な感じが結構好き。
まあでもね。
唯一既婚(殺害したけど)だし子供がちゃんと居るんだよね。
この辺の絡みが結構難しい感じする。
20220708