- Trinity Blood -4章
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「おーい…なあこれ…俺必要あったか?」
夜道を歩きながら。
『肯定。卿は揺動だ。スティシ・オルレンに於ける被害者は伝えた通り全員筋肉質で大柄な男性だった』
「へいへい…あとはそっちでやってくれよ?俺は酒が入ってるんだからな」
『了解した』
短い返事と共に、通信が切れる。
スティシ・オルレンは自分より大柄で筋肉質な男性を標的にする事で、小柄でひ弱な自分が怪しまれる訳がないという呆れた理由で犯行に及んでいたと様子だった。自分が身軽で、逃走経路として選ばれないであろう狭い路地を駆け上がる事で、人間の仕業ではないと思わせたかったのだろうか。
実際の捜査は難航していた様だったが、吸血鬼の仕業ではという声が上がった事で皇教庁国務省室特務分室が乗り出したという訳だったが、実に下らない事件だった。
よく調べたらわかる分かる事ではないだろうか。
怠慢だなと思いつつ、吸い損ねた煙草に改めて火を点ける。
煙を肺一杯吸い込んでから、盛大にため息を付く。
今回の任務俺絶対必要なかっただろ…
誰の推薦かなんてどうでもいい。
全く詰まらない冗談もいい所だ。
体格だけで選ばれたという事実に、突っ込む元気すら無かった。
こっちはそれどころではないというのに。
頼むから俺を外に連れ出さないでくれ。
忘れられない罪。
合わせる顔のない出来事と。
しかし外に出ると、最愛の娘には会える。
そこだけは、まあ評価するに値する訳だがな。
心の片隅に残った後悔が棘となって突き刺さっている。
静かになった夜の街を歩き切ると、ホテルはもう見えていた。
ホテルの扉をくぐると、そこにはもうボーイはいない。
フロントで鍵を預かって、レオンは自分が滞在している部屋へ戻った。
滞在している自室に入るなり上着を足元に脱ぎ捨てて、そのまま煙草を灰皿に押し当て。
「あー」と声を吐き出しながらベッドへ倒れ込む。
今日は眠れそうだ。
そう思った途端、レオンは静かに意識を手放した。
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