- Trinity Blood -4章
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目を醒ましたが、どうやら夜中だった様だ。
時計の音が丁度聞こえたところだった。
瞬きをしても、その瞳が世界映す事は無い。
ベッドからその身を起こそうとして。
誰か…いる――
近い所に誰かいる?
近くで、誰かが寝ている?
いや、でも。
目を凝らしても何も見える訳はない。
慎重に身体を起こそうとして。
「…ん?おお、どうした?」
「え、あ…ガルシア神父?」
だって、寝る迄はって言っていたのに。
まだ傍に居るだなんて。
だってあれは夕方で。
今の今迄傍に居たのであれば食事だって、きっと摂ってない。
「積極的だな、お嬢さん。手を握ったまま離さないなんて」
「え、あ…これは失礼…っ」
慌てて手を引き抜こうとして、しかし[#da=3#]のその手は逆にレオンに引き寄せられる。
「むしろ大歓迎なんだけどな?」
どれだけ近寄っても[#da=3#]と瞳を合わせても。
彼女はもう、その瞳でレオンを見る事ができない。
その目が合っている様な気が、している。
「それとも俺の体温には免疫があるってか?」
重ねる事ができるのは、身体とこの手だけなのに。
前髪で器用に隠したその瞳を覗き見る事など出来ない。
心臓は壊れそうな位動いているのに。
「なんてな」と笑ったレオンの表情は、[#da=3#]には見えないけれど。
――本当に今、笑っている?
言ったら怒るかも知れないが。
少年の様なあの笑顔が好きだった様な。
脳裏に浮かび上がるその笑顔に、しかし何故か記憶はなくて。
切ない…――
何故か切ない表情の笑顔しか浮かんでいない様な。
手を握る力が少し強くなる。
でもそんな表情も、何故…覚えているのか。
頭が下を向いた時。
[#da=3#]の額がレオンの肩にトンと当たった。
「いっ、――あ、すみませ…っ」
しかし返ってきたのは言葉ではなく。
「え、あのっ」
後頭部へ、レオンの手が添えられる。
喉が鳴る。
月の光を受けてヴェールの様に美しく流れた髪が、[#da=3#]の細く頼りない肩を晒した。
甘く香る肩に、息を呑んだ。
欲情する。
この甘美な香りが。
唆る。
後頭部へ置かれたその手がゆっくりと髪を滑らせるようにするすると下へ移動する。
肩に指先が触れる。
「ん…っ」
上擦った声が漏れると、レオンの表情が少し変わった。
ああ、俺は。
我慢できない。
危険信号。
金色の瞳に[#da=3#]を映して。
「…だめだ、くそっ」
強くその腕で抱き締める。
苦しいのか定かでは無いが「んぅっ」と潰れる手前の様な声が腕の中から聞こえる。
「ガルシア神父…っ」
「すまねえな」と言いながら、レオンは腕から解放する。
酸素を求める様に、腕の中にいた[#da=3#]は大きく一つ呼吸をした。
肩の力が抜けると、その流れに従って髪がさらりと揺れた。
どんな仕草でも、実に愛しい。
このまま、押し倒してしまいそうだ。
さっきの興奮がまだ消えないまま、ここで過ごしていた。
手を握られていたままだったからでも、あるが。
いや、ずっと手を握っていたのは俺なんだが。
「なあ[#da=3#]…」
左手を握ったままのレオンは、[#da=3#]を見る。
その手を引くと、僅かに身体が跳ねた。
「――…怖いか?」
自分を映していない事が分かっているのに。
真っ直ぐ、[#da=3#]を見て。
その瞳が光を宿していない事は分かっているが、しかし[#da=3#]もレオンを見ている様だった。
ややあって、首を左右に振り、しかし瞳は伏せて下を向いてしまう。
そう、何も。
何も言わなかった。
[#da=1#]はただ、首を左右に振ったのだ。
その時は、まだこの訓練を始めたばかりだったから[#da=1#]は今よりもずっと怯えた表情だった。
「そう…だったな」
レオンは口元で一度笑った。
その表情は、[#da=3#]には見えていないだろうが。
「ガルシア神父…わたし――」
どこかで、同じ事を?
下を向いたまま。
しかしその質問は、ついに口から出る事は無かった。
聞いても、解決しない事だと分かっていた。
そして辛くなる事も何故か、知っていた。
レオンは静かに。
[#da=3#]の髪を撫でた。
「起きるには早いだろ?まだ寝てろよ」
ぴくりと肩を上げて、レオンを見上げる。
「大丈夫だって、ちゃんと居ててやるから、な?」
「俺さえ居れば百人力だろ?」と言って、笑った。
そう言う問題なのだろうか。
しかし、何故か。
不安を感じる事は無く。
促されるまま[#da=3#]はベッドに横になった。
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うおー…
言い回しに悩んだり言葉に詰まったり時間掛ったけど何とかできたぞ…
これも誤字脱字があったら随時更新いたします…☆
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