- Trinity Blood -4章
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出でし月と。
窓越しに月を見上げながら。
レオンは[#da=3#]に背を向けたまま座っていた。
今でも昨日の事の様に思い出す。
[#da=1#]との夜、同僚達に隠れ密かに行っていた特訓。
食事を摂り、入浴を済ませてから。
「本当に、やるんですか…?」
掠れた小さな声だが、この声は不思議と耳にはっきり届く。
「嫌だったら、無理に続けないって言うのが第一条件だからな」
勿論余計なお世話だと分かっている。
ベッドの端に座っていたレオンの隣に座った、幼い神父。
「[#da=1#]…無理だけはするなよ」
隣に座った幼い顔立ちの神父は、頭を下に向けた。
黒髪が肩からするりと落ちて。
「ちょっとだけな、」
といって、レオンは一度[#da=1#]の肩を引き寄せる。
肩が跳ね上がった。
直ぐにその手を離し、ゆっくりとベッドに寝かせるとその身体は僅かに震えていて不安な表情が窺える。
対象的にレオンは喉を鳴らした。
「おいおい、」と、冷静を装って。
身体は自然と近付いていく。
「お前さんを抱く訳じゃ、ないんだぜ?」
自分に言い聞かせる様に、髪を撫でた。
性を偽っている事位、分かっている。
金色の瞳から逃れる様に[#da=1#]はその瞳を逸らす。
細く不健康そうな首元が覗いた。
吸血鬼ではないが、思わずその首筋に目がいってしまう。
「何も、しねえから…な?」
レオンは自分に何かを言い聞かせる様に身体を起こし、距離を取った。
左手首に手が添えられて。
「お前が寝る迄だからな」
レオンの体温が左手首を通してゆっくりと伝わってくる。
寝る事に集中しようとするが、身体は熱を受けている事を知らせてくる。
寝ようとしているのに。
眠れ。
眠れ。
集中しようと思う程に、目が冴えてくる。
呼吸が少しずつ上がっていく。
僅かに引き抜こうとしている手首は、しかしレオンの力だ。
そう簡単に離れる訳もなく。
レオンは背中を向けて、窓から月を眺めている。
いや、眺めている様に振る舞っているだけだが。
もぞもぞと動く気配がして一度ちらりと見ると、何とか寝ようと必死な様だった。
上布団を目深に被って。
何度が左手首を引きぬこうと試みていた様だが、しかし[#da=1#]はその掌を強く握っていて。
「[#da=1#]…大丈夫か」
問い掛けに、あいつは何て…言ったんだっけ――
訓練ではずっと、眠るまでずっと手首を握って。
背を向けたままだった。
いつでも、斬って良いと話していて。
こうやって指先へ触れる事は無かった。
窓越しに月を、見上げながら。
レオンは少しひんやりとした指先を、あまり意識しない様に握っていた。
「今度は俺が訓練しねえとな…」
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