- Trinity Blood -4章
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廊下を歩きながら、少し前の事を思い出していた。
研究の第一人者として名を馳せていたアーチハイド伯爵が人目を忍んで訪ねて来たのだ。
正直驚いた。
彼とは面識があり、[#da=1#]が保護されたその時にDNAの配列、構造、解明について当時研究を熱心にしていた為協力を要請た事で繋がりがあった。
彼、アーチハイド伯爵は、妻から「娘が欲しい」といわれ研究を始めたのだ。
いつの間にか遺伝子研究の第一人者として名を馳せていた。
元々は遺伝子情報から病気などに対抗する技術を編み出そうとしていたので遺伝子に関しては知識があったが妻が熱望した女の子を編み出す仕組みは少し道筋が違う。
研究を繰り返したが。
子供は4名授かったが全て男子だった。
伯爵公は目の前に現れた研究材料に、養子として引き取らせてくれと何度もカテリーナに要望していた。
研究材料としてではなく、家族として引き取ると聞かないアーチハイド伯爵に『有事の際は必ず頼る』と約束をしたカテリーナはしかし、養子として出すつもりは微塵もなかった。
アーチハイド伯爵の養女としてその身の安全を最優先に保護を求めるなんて、この先もないと思っていた様だったが、万が一の事を考慮し手筈を整えていた辺り、彼女らしいと言える。
しかしワーズワース神父が驚いたのはその先だった。
記憶を失くした[#da=1#]を引き取るという約束を交わしていたのは知っていたので、養女に迎えた事を聞かされた時は「とうとうその時が来たのか」と思った。
勿論それは、カテリーナからの要請だった事も分かっている。
[#da=1#]・[#da=2#]神父が行方を晦ませた時、もしかしてと一番に過ったのが伯爵公の存在だったのだ。
アーチハイド伯爵が目の前に現れた時、言葉も交わさずに確信したのだ。
彼を自室へ迎え、対峙した時。
記憶を失くしている事を聞かされた。
記憶を取り戻す事は、無いという見解だった。
[#da=1#]は、自分の寿命があまり長くない事を悟っていた。
能力の消失が合図だったかの様に髪は白く染まり、色素が抜けていく。
徐々に記憶に鍵を掛けていき、彼女は最後に瞳は光を失った。
[#da=1#]が記憶を失くしたのは今回が初めてではない。
今回の記憶喪失は前回とは違うという結果が出たと、報告書を持って訪ねてくれたのだ。
アーチハイド伯爵は[#da=1#]に、一番に失ったのは「視力」だったと説明した。
が、最初に失ったのは「記憶」だったとワーズワース神父へ告げた。
「突然高熱で倒れ病に臥せった時に一番に記憶を手放した。彼女は保護を求めた時何かショックな事案を抱えていた様だった…――」
高熱にうなされながら、同時に何か大切な事柄を失いつつある恐怖を、伯爵に報告していた様だった。
日々、自分を失っている様だと訴える幼い少女。
何を失っているのか分からない、時間を重ねるごとに何かを失っていると、自分の変化に恐怖を隠せない様子だった。
それが記憶だと気付いた時、アーチハイド伯爵は記憶の書き換えに乗り出した。
「今なら保護を求めた時に抱えていた苦しみに蓋が出来るのでは」と判断したというのだ。
「努めて冷静に『君は病に倒れ、視力を失ったんだ。何も覚えていないのかい?』と尋ねた。彼女は、自分が本当は誰であるかも思い出せない位になっていた。すぐにスフォルツァ枢機卿に面会を要求した。私は彼女に了解を得た上で『[#da=3#]、君は私の養女だ』と、本当の名で彼女を呼ぶ事にしたのだ…」
この事実を知った時に、別の話も聞いた。
一番衝撃だった事柄。
お腹に、子を宿していたと聞かされた時だ。
飛び上がりそうだった。
遺伝子を調べると迫った時、[#da=1#]が強く反対した。
知られる事を酷く拒んだ様だ。
しかし生むかどうかも悩んでいたらしい。
宿った生命には生きる権利がある、自分が決めていい生命など無い…と。
しかし。
身籠ったまま原因不明の病に倒れ、子供は流れた。
高熱で臥せってから徐々に記憶を失くしていき、とうとう目を覚まさなくなって。
もしかしたらこのまま…と思っていた矢先。
一週間と9時間程寝込んだのち、[#da=1#]が意識を取り戻した時には視界がぼやけ、何日経過しても視界がはっきりとする事は無く。
それどころか視野が狭くなっているらしい事に気が付いて…――
彼女はピントが合っていない様だと気付いてから、自らの身体の変化を日々事細かく報告していた様だ。
[#da=1#]は白杖を持ち、訓練を始めていると聞いた。
これを聞いた時は彼らしいと思ったが。
それ以降は詳細を窺い知る事がなかったが――
数ヶ月経過してアーチハイド伯爵から彼女を安全な場所へ保護して欲しいという要請があるとは思わなかった。
視力を失った事をいい事に、執事として勤務していたクーガー・ボルシードが部屋へ侵入し暴漢をしたと報告を受けたのだ。
これを知った伯爵公は怒りを抑えきれずに彼を殺処分したそうだ。
廊下を歩いていた’教授’は窓へと足を向けた。
恐らく彼女は今、謁見中であろう。
窓へ寄りかかると、そこから見える景色へと瞳を向ける。
「[#da=1#]君…
君にとっての幸せは、君でしか量れないんだよ――
我々は祈る事しか、出来ないからね…幸せであって、くれ給え」
空を真っ直ぐ横切る様に、木の葉が揺れた。
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やったよ!
書けたよ!!!!
って思って更新ページに飛んで
いざ更新しようと思ったら何やら違和感……
書き換えれば別の所で違和感
書き加えれば別の所に違和感
うおおおおおお
違和感があああああ
となって、
最終的に多分半分以上を書き換える羽目に……
日本語って難しいなー…