- Trinity Blood -4章
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揺動作戦。×
奥へ奥へとその身を滑り込ませていく。
腰が持ち上がる。
トーンを上げていく声。
静まり返った空間で、ベッドが軋む。
締め付ける感覚が彼自身を追い込んでいく。
押し込む。
求める絶頂に集中していく。
「…っ!」
首を左右に振り、唇を噛む。
持ち上がる腰を引き寄せると、更に奥へと押し込んでいく。
僅か悲鳴の様な声を上げる女性。
反り返る身体に舌舐めずりして。
レオンは欲望を吐き出していた。
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女性を帰してから、煙を充満させて、ベッドの端へ座っていた。
忘れられない。
誰とも違う感覚。
声も、身体も、女も。
全部違う者を選んでいた。
レオンの身体は、ひたすたに女を求めている。
ただ、どれも違う。
自分が求めているものは、そうではない。
何度外へ出る機会があっても、レオンは世界一絶世の美女と過ごす時間以外をこうやって欲を吐き出して過ごしている。
時間がどれだけ過ぎても、あの一夜を超える事は一度もなかった。
どれだけ女性を抱いても、レオンは満たされずにいた。
こんな事が今迄…いや、――
煙で充満した世界の中で、頭を抱える。
狂いそうになる。
吸い切った煙草を灰皿へ押し付けてから、レオンは煙草の箱に手を伸ばしていた。
「…ちっ」
箱を握り潰してから、壁に向けてゴミとなった煙草の箱を投げ付ける。
手に取った服に袖を通すと、乱れた髪も整えぬまま外へ繰り出した。
ボタンを片手で留めながら廊下を歩いていく。
フロントへ鍵を預けてから外へ繋がる門へと足を進めていくと、ボーイが静かに扉を開ける。
いってらっしゃいませ、という言葉を背中で受けながらすっかり夕焼けに染まった世界へと踏み出していた。
あれからすっかり世界は色を変えていた。
レオン自身、あまり外へ頻繁に出ない。
いや、少し違う。
彼と会わなくなってから、呼ばれる機会が減った。
それだけ難しい任務を任されていたっていう事だったのだろうか。
戸惑いを隠せない。
レオンは結局、彼の存在を掻き消す事が出来なかった。
どれだけの女性と身体を重ねても、[#da=1#]の事が過ってしまう。
誰もが違う。
彼とは全く違う。
近しい者も居たがどうしても違う。
身体が欲しているものとは、違う。
狂ってしまいそうになる気持ちを押さえつけて、レオンは女性を漁っていた。
口が寂しい。
煙草で口を塞ぎたい。
心が恋しい。
煙で満たしたい。
この滞在している街では、遅くまで煙草を売ってくれる店は少し離れている。
その店員の女性とも関係を持った。
だが、彼女も違う。
甘い言葉を囁けばその手を握ってくれる。
優しく甘い時間だが、求めているものとは違う。
煙草を求めて、周りもあまり見ずにどんどんと足を進めていった。
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