- Trinity Blood -4章
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山籠もりから。教授?
踏み外すと崖から転落する様な地形の山道で、傷だらけの少女が歩いている。
この険しい山へ入ってもう6ヶ月が迫っていた。
滞在先の山荘から突き進み躓いた先で奇数日は右、偶数日は左に曲がる。
転落して歩けずに過ごした4日間。
枝で腕を深く切って終わりを覚悟した8日間。
幹を頼りに登り切った大木も、降り方が分からず、踏み外した先で頭を強く打って昏睡状態だった3日間。
空間が把握できず段差から転落したり、食材を確認できず食中りになったり。
サポートは最低限。
勿論、自分の為だ。
段々と杖を必要とする生活から離れていた。
感覚を養う程に、世界は段々と好転していく。
見えてはいない。
だが感覚は分かる。
暗闇の中で空間を描きながら歩いてい。
適当な所から入っても、枝に当たらない。
まだ衣類が少し引っかかるのが気に入らないが…――
風が吹くと木の葉が音色を奏でる。
ワーズワースが開発を行ってくれていた骨伝導式の装置が間もなく届く。
カテリーナの指示ではあったものの、装置の開発に快い返事をしてくれた装置である。
数ヶ月前から足を運んでくれているが微調整を行いながら開発進めている装置はより精巧なものとなっている。
前回掛けた時暗闇の中で自分が空間を描けていると錯覚してしまいそうな位ではあったものの、まだ完成ではないと言われて驚きを隠せずにいた。
距離や感覚をより鮮明にする魅力的な装置。
それに合わせて、自分の感覚を一層引き立てておきたかった。
滞在先から10m程下った先の川を目指していた。
静かに周囲を見回して14cm程下に川がある事を確認する。
聞こえる川の流れる音が、深くて70cm、浅くて3cm程、幅が190cm程の大きな川。
その内47cm程の川岸。
段差は14㎝程でありながら複雑に岩が積み上がっている。
浅いと思って踏み入れた先で突然深みにはまって危うく溺れ死ぬ所だった事を思い出しながら膝を折って、大きな岩へと腰を下ろす。
じっと、その場で耳を澄ましていると。
後ろから誰かが近付いて来た。
足場の悪い筈の道を一定の音を保ちながら歩いてくる。
「イクス神父?」
僧衣を纏った、短髪の神父。
顔立ちの整った小柄な青年は、僅かな機械音と共に静かに彼女の前で立ち止まった。
「[#da=3#]・アーチハイド伯爵令嬢、何をしている。面会時間が四八〇,三六秒遅れている」
「あの、すみません…もう少し感覚を養っておきたくて」
白髪の女性は彼の表情までは分からない。しかし体格や、輪郭はぼんやりと捉えており、彼は比較的小柄であり、ワーズワース神父やガルシア神父の様な身長は無い。
「ウィリアム・ウォルター・ワーズワース神父が装置を持参している、同行を」
「はい、すぐに」
歩く前に踵を二度ほど鳴らして周辺の地形を反響音をよく聞いてから、周辺を再確認してから歩き出す。
[#da=3#]が後ろから付いてくるのを確認してから歩き出す。
木の根が地を這い、草木の生える足元も、まるで見えているかの様だ。
少し遅れて追い掛ける[#da=3#]はトレスが僅か歩く速度を落としている事には、気付かなかった。
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