- Trinity Blood -3章
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白んで来た空を見ながら、ベッドで眠る気にもなれないままソファにその身を預けていた。
空になった瓶がその手を離れて床を転がったのは、1時間は前になる筈だった。
何度思い出しても、熱を帯びる身体。
あれだけ理性を失ったのは初めてだったのではないかと、あれだけ時間が経過したのにまだ思い出している。
妻を殺害したあの時でさえ、実に、冷静だった。
静かに、速やかに事を終えた。
「[#da=3#]…か」
一度その名で呼んだ。
彼が取り乱した時。
あの時抱き上げた身体は、死の淵を彷徨った恐怖を思い出した、ただの幼子。
もう随分前の様に感じているが、恐らくそんなに時間が経過している訳では無いだろう。
幼くして成長を止めた、一見幼く見える少年の様なその外見とは違い、彼は立派な青年である。
いや、今や成人というべきだろうか。
あれだけ近くで過ごしたのに、[#da=1#]を理解してやれていなかったのかと、静かにため息をついた。
理解している、振りでもしていたんだろうか。
いや…、俺は――
この身体に残ったぬくもりが。
細部まで覚えている感触が。
匂いが。
蘇る度に、本能を疼かせる。
「くそ…またかよ…っ」
奥歯を噛む。
ごくり、と喉が鳴る。
思い出してしまう。
とても、鮮明に。
彼を…いや彼女を。
耳の奥で残る声を。
舌が首筋を這って舐め上げた時に感じた甘さを。
鼻先で感じた耳たぶの柔らかい感触を。
両の掌に残った腰の細さを。
震えた身体も。
中で感じた熱も。
仰け反っていく感覚も。
この手に残る抗った右手の感覚も。
締め付けてきた内側が波打ち――
「これ以上は…、だめだっ」
思考を止めてしまいたい。
苦し気に吐き出して、高鳴りを捉える。
身体を起こすと、大漢は深く大きなため息をついた。
超えてしまった一線は、もう…――
レオンは足早に荷物を纏め始める。
あの酷い臭いの’別荘’に戻って全てを汚染してしまえば、少しは忘れられるかも知れない。
一握の希望は、しかし無駄に等しい行為でしかないだろう。
この4ヶ月半…、いや間もなく5ヶ月を迎える筈なのに、一切レオンの身体は忘れていない。
無駄だとあざ笑っている様だった。
彼女に、いや彼にした行為は到底許されるものではなかった。
荷物を纏めていく。
思考へ手を伸ばしては頭を左右に振り、止まりそうになるその手を無理矢理動かしていく。
心無い行為は雨を降らせるのですね…――
びくり、と身体が跳ね上がる。
伏せられた瞳を、覚えている。
言葉を紡ぐ事に彼は一体どれだけ恐怖しただろうか。
自らの行為を恥じるべきなんだろう。
思考を止めようと頭を左右に振るが、その行為は無駄に終わる。
例えばこれが神父レオンの罪だったとして、
元を糺せば自分が一つだけ神に背いている事が
罪である事に相違はないのです
その手は完全に動きを止めてしまった。
性を偽っていた事が、とうとう積み重なって大きな罪となるという事なのか。
俺の罪だと謝罪したレオンに、しかし[#da=1#]ははっきりそう返した。
頭を抱える。
神は赦される。
と、そういった彼の言葉は小さく掠れた声だったが、レオンの耳にはしかしはっきりと聞こえた。
耳を塞いだとして、その言葉はもう外界から聞こえるものではない。深く突き刺さった、己の罪なのだ。
言葉が返せなかった。
あれから、あまり持参していなかった荷物を纏めてふらりと居なくなった[#da=1#]の代わりに神父トレスが来たが、原因は自分だから疑問も異論も一言も浮かばなかった。
!読んだよ!
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・・・
展開していくのはいいけど、
このまま2人は再会するのか…
いやこのまま再会できないのか…
もう自分がどんどん違う事をしている気がして
レオン神父や[#da=1#]さんに申し訳無さ過ぎる…
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