- Trinity Blood -3章
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通り雨が辺り一帯を暗く染めた。
こんな土砂降りの時は、[#da=1#]神父の所在を確認しに周囲を見て回った。
彼はよく雨の中独りで外へ出て過ごしていた。
また別の時は、シャワーを服を着たまま浴びていたり。
出会ってすぐは驚き焦る時を過ごしていたが、理由を知るとレオンはある程度好きに過ごさせる事にした。同僚の神父アベルは毎回悲鳴を上げながら慌てふためいていたが。
寝転がったままソファで過ごしていると、そんな事ばかりが思い出されてしまう。
「くっそ…」
きつく目を閉じる。
視界を暗転させる。
原因は俺なのに・・
思い出す資格なんて、俺にあるんだろうか――
「定時連絡の時間だ、」
それまでまるで置物の様に佇んでいた同僚が、僅かな機械音と共に頭を上げる。
一定のリズムを刻みながら足早に歩いて扉をくぐる神父トレスが去り際に「何か問題があればすぐに連絡を」と口早に告げて消えていった。
返事すら待たないのかと思いながら扉の向こうへ消えていった神父トレスへ「了解」と短く返答してから、上半身を起こした。
「――探すな・・か」
ため息交じりの言葉が宙へ浮いた。
鼻奥に蘇った[#da=1#]の香りが、不覚にも気持ちを昂らせてしまう。
喉の奥が鳴る。
むしゃぶりつきたくなるあの香り。
酒ではない。
あの[#da=1#]の香りに、レオンは完全に酔っていたのだ。
「だーーっ!くっそ…っ」
ソファの手すりを、拳が強く叩いた。
定時巡回ではなく、定時連絡だと言ったトレス・イクス神父の言葉に違和感を感じたのは、その時だった。
普段なら定時連絡はその場で行っている。
巡回なら兎も角。
「おい…、拳銃屋?」
振り返った先に、しかし神父トレスは居る筈もなく。
「あーあ…全くよ」
頭をバリバリと掻きながら、レオンは立ち上がる。
任務に入るなら言ってくれればいいのに。
平静で居られない自分を、役立たずだと思ったのだろうか。
正解に近い気もしているが、娘の治療が約束されている事と引き換えの任務なんだから、そうやすやすとソファで横たわってばかりも居られないし、私情を引きずってめそめそしている訳にもいかない。
扉のノブへと手を伸ばし…――
レオンは手を止めた。
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