- Trinity Blood -3章
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
赦されぬ祈り。教授
もうすっかり昼だ。
なのに身体は思う様に動かない。
静かに世界が動いている。
ベッド上で膝を抱えたまま小さく丸くなっていた。
点滴が終わっていないから、本当はこんな風に丸くなっている場合ではないのに。
白く清潔を絵に描いた様なシーツが自分を包んでいる。
鮮やかに彩られた世界なんて、もう自分には見えないのだ。まだうすぼんやりと見えるカラーにさえ懐かしさを感じてしまう。
あの時も、世界は横を向いていて。
気が付いた時にはもう遅くて―――
お世辞にも役目を果たしていると思えない薄手の上布団を頭から被って一層に身体を丸める。
世界が暗転する。
瞼を閉じて、ベッドへ埋まっていく。
耳を塞いで、心をシャットアウトさせる。
自分がこの黒の世界に、深く沈んでしまいたいとさえ、思っている。この世界は残酷でしか、無いのだろうか。点滴の針が漏れても外れても、もう関係無い。
どうせこの世界、…自分はもうすぐ役目を終える。
点滴が漏れているのが分かる。
関係ない。
目を開いたら薄暗い布団の中で、ぼんやり光が見えた。
関係ない。
この身体は役目を終える。
関係ない。
神に背いている事が、一つの罪。
点滴の針を乱雑に抜いて。
誰の罪でもなく、これは自分の罪なのだと息を吐いた。
彼の罪ではない。
分かっている。
だが、もう…戻れない。
ぬくもりが残ってしまった身体が、頭と身体を切り離してしまった。心が恐怖を感じている。平静を装って任務を継続しようと誓った矢先だったのに――
開いていた扉が少しずつ閉じていく音を聞きながら、とうとう意識を手放してしまったのだ。
・