- Trinity Blood -3章
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与えられた試練
寝つけないまま朝を迎えようとしている。
体内を流れる血液が、妙に騒がしく感じている。
アルコールを入れたから…だけではない。
薄く色素の薄い肌の感触、
感じた事のない感覚と違和感に怯える瞳、
抵抗への快楽、
上がっていく体温に恐怖する身体、
鼓膜に響く上擦った掠れ声が理性を消し飛ばして――
頭を雑に左右に振ってから、たった今横になったはずのベッドから勢いよく上体を起こした。
彼が目を覚ますのが、とても怖い。
きっと、軽蔑されるだろう。
任務で傷を負い痛ましい姿ばかりを見ていて、目を覚まして欲しいと何度も祈った筈なのに。
青年が目覚める事が、今はとても怖い。
もう顔を合わせない方が良いのかもしれないとさえ、思ってしまう。
恐怖が脳内を巡って眩暈さえする。
何度もカフスを弾いて、誰かと任務を変わってしまいたいと…この場から居なくなりたいと思ってしまう。
ベッドの上であぐらを掻いて腕を組むと、眉間には絵に描いた様な縦皺が一筋できる。
起こってしまった事は紛れもない事実であって、それは逃れようがない罪。
傷付けてしまった。
軽率だった。
アルコールの勢いではない。
実際酔いが回っている訳ではなかった。
アルコールを言い訳に出来た方がとても楽なのに。
向かい合った距離でも、隣り合った距離でも、とても心地よく、満足していた筈なのに…――
どうして思い留まる事ができなかったのか、我が身の事なのに理解に苦しむ。
最後に振り絞った限りの力で自分を押しのけようとした彼の右手の感覚が、肩口にはっきり残っている。
ただその力は、気持ちが高揚していくきっかけにしかならなかった。
快楽で汚染された脳が、自分を抑制し切らなかったと言うべきか…
隣のベッドで眠る幼い少年…いや、成長をする事を忘れた外見で幼く見えているだけだが、[#da=1#]は十分成人ではあるのだ。
前髪で器用に隠れた瞳は閉ざされていて、その表情は夜にレオンへ見せたそれとは違っている。
窓の向こうでは、雲の隙間から眩しい位の光があふれ出そうとしていた。
言い訳などせずに謝罪をするべきだと分かっている。
しかし彼はきっと恐怖したあの瞬間に囚われてしまっているだろう。
[#da=1#]が目覚めるのがとても怖い。
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