- Trinity Blood -3章
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そう、こんな風に。
じっと動かずにいると向こうから足音が聞こえてきた。
勿論病院だから、扉の向こうでは沢山の医師や看護師、患者や見舞の人間が廊下を歩いているから常に外は静かならが賑やかではあるのだが。
ふと起き上がった時には、必ず訪問者が現れる。
その音はとても遠かったが、何故か自分の所へ近づいている事を感じている。
何故そう感じたか自分では分からない。
だが、とても待ち望んでいたような、不思議な感覚だった。
同僚が来てくれているのだろう事を静かに感じた。
とても賑やかな同僚もいれば、ただ加療状況を伺いに来る者もいる。
無口ながら定期的に足を運んでくれる同僚、仕事の合間に来て短い間だが言葉を交わしてくれる上司。
とても心地いい香りを連れ込んで、少しの間話をしてくれる同僚はいつも土産と称して新聞を数冊持ってきてくれる。
そして、彼は特別。
「よう、起きてんのか」
ノックもせずに入ってくる彼は、普段とても大きく感じるその扉さえ狭く感じる程に大柄な同僚だった。
静かで薄暗く感じた部屋も、彼が入った途端に明るさを含んだ。
「また'別荘'から出張だ。俺も忙しいもんだぜ」
許可もないのに傍の小さく粗末な簡易椅子に座り、足をどかりと組んで賑やかに笑う。
「今回も一緒だってよ。ま、別に誰とでもいいけどなっ」
大柄な男が子供の様な顔で笑った。
およそ他の同僚には見せないだろう表情。
彼の娘も、きっと病床でこの笑顔を見て治療に専念しているのだろうか。
前髪で隠れ手表情が読み取りにくい[#da=1#]に、しかしレオンは「さっきより元気そうな顔になった」と言う。
はっきり見えているのだろうか…――
彼の愛娘は難病であり、その彼女が最先端の治療を受けられる約束と、故有って百年の禁錮刑を受けている彼本人の減刑を約束されて同じ上司に仕えている。
教皇庁国務聖省特務分室――通称Axの派遣執行官としての聖務に携わっている。
彼の才能はどの機関も恐らく、知れば喉から手が出る程に欲しいものである筈。
扱い難いその性格が災いして、その才能を埋もれさせているのが欠点ではある。
しかしこの表面に塗り固められたものが隠れ蓑になっていた事でカテリーナ・スフォルツァ枢機卿はレオン・ガルシア・デ・アストゥリアスの獲得に成功したと言える。
粗野な僧衣の着こなし、およそ聖職者とは呼び難いその風貌で、どの角度から見たら彼が元軍人である事を納得させられるのであろうか。
「今トレスが手続とかしてるからな、間もなく'外泊'だぞ」
大きな欠伸を一つ。
ぐっと身体を反らしたかと思うと、気持ちよさそうに口元で「くーっ」と息を吐き出す。
レオンは、巧みに面白味のある言葉を使って接している印象を受ける。
彼の言葉遊びはとても面白く、そして[#da=1#]にはとても非常に興味を惹かれる。
もっと、時間を共有したいと思ってしまう。
間もなく終わる点滴の袋と自分の生命の時間を重ねながら。
・
ぼんやりと時間が過ぎていく感じが
書きたかったのですが、
叶っているのでしょうか…むむ…
ではまた、任務でお会いしましょう…☆