- Trinity Blood -3章
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静止した様に動かないトレスの背中が彼を送り出した。
ゼリー状のものが固体となり形を成す時。
本体となる身体が唯一無防備になると仮定したのは、その場に残った僅かに煙草の香りを纏ったこの紳士。
「教皇庁国務聖省特務分室派遣執行官ウィリアム・ウォルター・ワーズワース――
コード"教授"。学園都市生物学部所属リュースク・ツィヴァクヤ研究員。毒物及び劇物取締法及び聖務員執行官への傷害並びに殺人未遂により聖務員執行妨害の罪で逮捕する。抵抗はやめ、速やかに投降したまえ」
穏やかな様子は消え、普段では見られない様な怒りを纏いながら、しかし静かにはっきりと言葉を連ねていく。
「私を怒らせるとは君もなかなか、やるね」
ステッキにその両の手を重ねて。
「慎重な彼にどうやってその菌を植え込んだかももう解析は済んでいるし――
いや…彼は敢えて罠に嵌ったのだよ」
誘い出されたのはリュースク・ツィヴァクヤ研究員であるということなのだ。
「この微生物は使い手の遺伝子を組み込んだものを培養し何らかの方法で植え付ける事で本人の意思と関係なく操る事を目的とした‘兵器’だね。教皇庁国務聖省がこの動きを見過ごすとでも思ったのかい?」
視点は悪くなかったと思うがね、と乾いた声で笑う。
紳士として知られる彼のその様子を見ると、怒りが露わになっているのがよく分かる。
顎にそっと指を添えて小さく、ふむ…と考え込むような様子を見せると「分析は済んだかね、」と問いかける。
リュースク・ツィヴァクヤ研究員は拳銃を携えてピタリとも動かない青年の事を一瞬忘れたかのように周辺を慌てて見渡す。
しかしその声の相手はついに姿を見せないまま返事をした。
『ええ“教授”――既にレポートにまとめて報告済みですわ』
言い終えると同時に、周囲にぼんやりを放った光が集結する。
美しい黄金の髪を巻き、目元に見とれるほどの泣き黒子を携えたシスター姿の女性が現れる。
『この研究は速やかに中止させる事が決定しております。教皇庁国務聖省は、現在この研究学園都市全体の早期凍結を求めております』
「凍結…ね、了解したよ」
『この微生物は遺伝子の羅列を浸食し配置換えする事で、遺伝子の元の持ち主とリンクし身体を征服するものです』
周辺にまとめられたレポートらしきものがデータ化したものを投影していく。
「実体化してるのはどういう訳だ?」
『この微生物はある程度体内で育ちますが浸食が進むと身体は狭くなり体外へ排出され、媒体者は瀕死もしくは死亡し、微生物は書き換えて取り込んだ遺伝子を元に身体を手に入れるのです』
「この実験は間もなく収束する…そのモルモットでこの実験は成功への道がひらけたのだ」
「そうか…では」
突然開いた扉から、ぐったりとし意識のない拘束された状態の男が投げ入れられた。
「ひ…!」
「彼の意見も聞こうではないか」
その白衣の男は、意識がなく昏睡状態とも見て取れるものだったが、見覚えのある顔。
血の気は無くまるで土色の肌を纏い、その場でぐにゃりと床へ転がった。
「リュースク・ツィヴァクヤ研究員…――
君の研究は、失敗に終わっている様だ」
この実験は確かに成功の道を開いているのだろう。
ただし、媒体者である目の前の白衣の男…そう、彼こそリュースク・ツィヴァクヤ研究員である。
「なん…」
「例え巧妙に隠してあったとしても、本体が逃げられないのであれば我々にとって本体を見付けるのは容易い」
ごくりと喉を鳴らして、リュースクはすっかり乾いた声で己の身体と対峙する。
「そして‘君自身’がこうなってしまっては、もうこの生活反応のない身体には戻れまい」
土色の、腐ったようなその身体と。
ごろりと、縛られたまま床に投げ出された抜け殻は、本来実体として機能している筈だったのだ。
見た事もないような自分の肌に恐る恐る触れると、その身体は水分も弾力も感じられない様な触感。
「まだ…手はある――」
「いいやリュースク・ツィヴァクヤ――君は、間違えた」
穏やかな表情を浮かべながら、強く氷の様な瞳を向ける。
普段穏やかな彼の怒りは、周囲も息を呑むほどである。
「私のよき理解者に…いや、友人に目を付けたところからだ」
・
専門的な言葉を難しくし過ぎないで、
世界観を壊さずに会話させて、
と思っていますが、
生物学的な知識は皆無です
申し訳ありません…☆
ひと段落…
ちょっと日常的な背景に戻してあげたいです。
[#da=1#]さんをちょっと、
怪我させ過ぎなのかな…
気の毒になってきました…'・u・
ちなみにこれは成人を10年位通り越してから再勉強したものですが…教皇庁特務分室の皆さんは、単独で孤独な戦いを強いられる事が多いという事だったので、複数ごちゃごちゃと出てくる事は無いんですよね…
逢いたい、絡ませたいと思って出演をお願いしておりましたが、吉田先生の意とする演出ではなかったという事で、今更反省しております…!
夢小説だからと言って流石に自由に出演して貰い過ぎております…
^Ч^