- Trinity Blood -3章
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端正な顔立ちの小柄な神父と僧衣を着ていないと神父とは言えない身なりをした大柄な神父をフロントで迎え入れる。
途中ホテルマンに「お客様、当ホテルでの『飲食』は…」と言われ大柄な神父が眩暈を起こしていたが、すぐ後ろにいた小柄な青年によってハラスメント論を展開されそそくさとその場を後にする、という一面に出くわした。
「ったく…3度目はねぇだろうな?」
廊下へと繋がる扉を閉めてから、レオンは大きくため息をついた。
「問う。3回と発言したが正確な発生時期と場所はどこか、回答を」
「うるせーよ拳銃屋」
端正な顔立ちの青年、トレス・イクスに対し大柄な神父は口を尖らせて更に大きなため息をついた。
「てめぇに掛けられたロリコン疑惑をホイホイ口に出して言うやつがあるか?」
唸る様に不満を漏らすレオンへの返答をせず、僅かな機械音と共に周囲を見渡した。
「大体俺だけのせいかぁ?こいつだって立派に間違えられそうなナリしてんだろ?」
傍に居た幼い神父の背中を叩く。
その力はさほどもモノでは無かったが、急なものだったので勢いで2、3歩前に出てしまう。
「それにつては周知の事実だ。肯定する」
「だろ?!男女関係なく綺麗なナリしてるヤツと並んだらガタイの良い俺なんかいつも変態扱いなんだぜ?!」
「それについても肯定だ、神父レオン」
「…何か嬉しくねェ…誤解される理由がほとんど俺じゃねえか…」
「肯定だ」
つまりは、[#da=1#]より自分が『そのように見られる』きっかけである事は変わらないという事を肯定されたようだ。
「ちっとは否定しろ…虚しくなってくる」
がっくりと項垂れたレオンの表情をちらりと窺う[#da=1#]を、しかしレオンは見逃す筈がなかった。
「久し振りだな、元気にしていたか?」
僅かに姿勢を落としたレオンと少し目が合う。
囁くような声で「元気そうで安心したぜ」と言ったその笑顔に思わず目を逸らしてしまったが、何かを思い出した様にゆっくりと視線を上げる。
小さな声で返事を返すとレオンはあまり周囲には見せた事のない様な表情でこちらに優しい表情を向けた。
「[#da=2#]神父、コードネーム “プロフェッサー“は現在研究学園都市内か?」
「はい」
表情を持たない端正な顔立ちの青年はその答えを待ってから、僅かな機械音と共に向きを変える。
「了解した。ガルシア神父、可及的速やかに休息を取れ」
返答と共に、トレスは扉のすぐ傍に立って、それ以来まるで絵に描いた様に口をつぐんた。
「そうだな、ちっと寝るか…俺は昨夜全然寝てねぇんだ」
自由に過ごす時間。
レオンには睡眠をこうやって穏やかな室内で過ごす事が少ないのだ。
「一時間位したら声掛けてくれ。腹も減ってるんでな」
「…了解です」
奥のベッドで寝ればいいのにソファに腰を下ろすレオン。
「あの…奥で寝ないのですか?」
「お?何だ一緒に寝てくれんのか?」
通常ならトレス辺りが突っ込んでくれるのだが、何の沙汰もなし。
返答に困る[#da=1#]にレオンは少し笑った。
少しは冗談が通じる様になったんだろうか。
深く期待はしない。
普通でいてくれる事が何よりの望みである事は変わらない。
「そう困った顔すんなよ」と言って立ち上がる。
「一時間後には起こしてくれよ?」
レオンは片手を上げて扉の奥へ消えていく。
その背を見守りながら、[#da=1#]は静かに頷くのだった。
幼い神父がその背を追わなかったのは、睡眠の邪魔をしない為だった。
「問う。追わないのか神父[#da=1#]」
平均3.04秒で追うと出ている、とトレスは言った。
「いえ、」
次の言葉を思いつくまでにそれほどの時間は掛からなかった。
「睡眠を優先に…」
きっと自分の足を引き留めたのはそれだけではないだろう。
だが、それについて何故かと問われると分からなかった。
聞かれると自分でも答えられないだろうから、言わなかった。
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