- Trinity Blood -3章
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窓辺での観察
「…ったく変な夢だぜ」
夢か真か。
人は大体死を覚悟している。
たまたま覚悟していない時に死を迎える。
まだ生きているのか解らないのは、俗世とは少し離れた生活を強要されているから。
自由な時間を決められている今の生活は、つまらない事ばかり考える時間を与えられてばかり。
ぼんやりと遮断された世界へと考えを巡らせていると、聞き覚えのある規則正しい足音がこちらに近付いているらしい事に気が付いた。
*
「シャワーでも浴びたい気分だ」
舌打ちを一つ。
こんなに暑い空間に放り出されるとは思わなかった。
「恨みでもあんのか全く」
砂漠の方が汗も渇くしまだマシだとさえ思える。
「否定。これは任務だガルシア神父」
「分かってるよ…」
毒づきながら、レオンは作業に戻る。
「ここが終わったら次は北西にある門の側溝へ土産を付けに行くんだが…」
材料が足りない、と作業の手を休めないまま伝えると「否定」と一言返ってきた。
「先に潜入している教授と合流する事を推奨する」
向かっている?妙な回答にレオンは作業をしていた手を止めた。
「おい、この町に居るのか?」
「肯定。彼は講師として現在大学で会議に出ている」
じゃあ合流できないな、と口を開こうとした時「同行している神父[#da=1#]に待機の指示が出ていると聞いている」
「へー、来てんのか」
「肯定。教授から申請があったので同行させたと聞いている」
「こんな暑い中?」
「肯定。しかし町の中は研究に適した気温を保つために外気より20度低い」作業を再開させながら「ほう、」相槌を打つ。
話を聞きながらでもレオンの手際の良さは変わらない。
「だからこんなにドームっぽい作りをしてんのか」
がちり、と鈍い金属音が鳴った。
音を聞くだけでもその金属が重いと分かる。
僅かに電子音が響くと、そこの作業が完了した印となる。
「じゃ、とにかく愛しの相棒の下へ行きますか」
立ち上がってトレスの方へ向くと、一呼吸置いてトレスが先導するように歩き出した。
「あの土産達が発動させずに回収出来る事を祈ってるぜ」
後に続きながらレオンが言ったポツリと呟いた言葉に、トレスは答えなかった。
*
じっと外を見ている。
今日は朝から外を眺めていた。
下の広場を教授が歩いて行くのが見えていて、次の角で曲がるまでずっと見送っていた位だ。
そこから幾時間経ったのか、鼓膜を突くような小さな音が音が鳴る。
その音の主は小さなカフスで、[#da=1#]は病院でずっと聞いていた機械の音に似ているこの音があまりこの音は好きではなかった。
カフスを弾くと声が聞こえて来るのだが、そこから流れて来る声は仲間の声ばかりだから嬉しいのだが。
好き嫌いをごちゃごちゃいう訳ではないが、好きと嫌いが混在するこのカフスは結果を見る限り4:6でまあまあ好きといった所。
『よう、調子はどうだ?』
「ガルシア神父?」
まだ姿が見えないが、どうやら町に着いた様子だ。
『寂しかったろ?』
以前負傷してから、自由時間終了直前まで病院に居てくれたらしい事を列車の中で教授から聞いた。
『今からそっちへ行くし、待ってろよ?』
「…あ、」
返事より先に。
トレスと、そして声の主であるレオンが角を曲がって向かってきたのが分かった。
「了解しました」
少し、頬が緩んでいたかも知れない。
[#da=1#]はその不思議な感情を抱きながら、歩く2人の神父を見詰めていた。
・・・
無事に退院していましたね。
ほっとしました^^。
*