- Trinity Blood -3章
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「常駐戦術思考を哨戒仕様から殲滅仕様に書換え
戦闘開始」
「!?」
激しい爆発音と共に、司教が振り下ろした剣の先が彼方に飛ぶ。
司教の視界の先で無数の火花が散った。
同時に、まるで通り雨の様に激しく早く、甲高い音が鳴り響く。
思わず耳を塞いで怯んだ司教に、その愛銃を向けた。
辺りは一瞬で静まり返る。
神官の服を纏っていた小柄か男の片方の瞳が、薄暗い室内で赤く不気味に光を放っている。
「抵抗は推奨しない」
「…っ」
ごくりと息を鳴らす音が、静まり返った周囲に響く。
青ざめた表情でゆっくりと手を床に付け、抵抗の意志が無い事を示す。
「[#da=1#]・[#da=2#]神父、損害評価報告を」
「…」
ぐったりしたまま言葉を発しない少年を見て、もう一人の神官が彼に近付いていく。
「まさかそこまでやってるとは思わねえだろ。…子供相手に」
声のする方へ向くと、司教の顔色は一層青ざめた。
「そんな…」
両手を鎖から解放された青年の赤黒く変色した筈の背中は、僅かに光を放っている。
元の色へと戻ろうとしている皮膚の変色に司教は飛び上がる。
「ひ…っ?!あ…吸血鬼?!」
ガタガタと震えながら指を刺す司教の表情は、最早抵抗をする様子を一片も感じられない。
「吸血鬼だぁ?」
上着を脱いだのは見覚えのある神官ではなく、癖のある髪を持った浅黒の肌を持った大柄の男。
その瞳は薄暗い闇の中ではっきりと司教をぎらりと睨んだ。
脱いだ上着を傷を負った少年の肩に掛けてすぐ、男はその大きな掌で司教の肩を掴む。
「じゃあお前は一体何だって言うんだ?」
低く唸るような声で男は言った。
肩を持つ手に力が篭る。
レオンの力は人とは思えぬ程に強く、子供や老人なんかでいうと骨が砕ける様な、例えが難しい程に鋭い痛み。
「ひいいっ!ややや止めてくれっ!肩がっ…ああっ!!!」
「そこまでだレオン・ガルシア・デ・アストゥリアス神父」
トレスの銃口は、寸分違わずレオンのこめかみに向いている。
「ひいいっ!!早く!!早く!早くこの男を殺してくれっ!!」
「少し煩いぞ?いい加減黙れ」
大柄な男が怒りの表情を向けると、司教は再びガタガタと震え始めた。
「警告する、レオン・ガルシア・デ・アストゥリアス神父。5秒以内にグリース・ラッド司教を離す事を推奨する。彼は拘束の指示を受けている」
「分かったよ、ほら」
「ひいいっ!殺さないでくれ!」
押し出す様に司教をトレスに引き渡すとすぐトレスは司教を拘束してアベルとアジアナ・ループの待つ扉の向こうへ消えて行った。
再び静まり返る室内。
取り残されたレオンは[#da=1#]の方へちらりと視線をやった。
「…俺はこういうのが一番嫌いなんだよ」
儀式の際脱ぎ捨てられていた上着を取ると、彼の傍へと寄った。
鎖から解放された両の手。
鎖の酷く錆びた色と擦れて傷付いた肌が残っている。
「嘘だろ…」
言葉が続かない。
「…[#da=1#]!おい!!」
激しく揺らした身体がぐったりとレオンの腕に収まった。
浅くだが呼吸をしているらしい事は分かる。
しかし相変わらず鎖の傷付いた跡がはっきりと残っている。
背中もこの調子だと危険だと直感した。
慌てて儀式の際に着ていた服を[#da=1#]に着せると、扉へ向けて走り出した。
*
急展開とか、考えて居なかった罠
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