- Trinity Blood -2章
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「続きまして二品目」
「二品目は、アルハーヌスが東洋の文化を手本として取り入れた作品です」
ざわついた会場から聞こえてくるのは「アルハーヌスだ」「アルハーヌス?珍しい」という言葉。
「…面白いというのは実にこの彼等の反応を言うね」
次々に上がる声。
その品を手に入れんとして次々と金額を吊り上げていく人々の瞳の輝きは実に鈍く光るのを見ているのは、実に異様だ。
「全く、こんなくだらないものに出資する彼等の気が知れないよ」
何度か札を上げて買う素振りは見せたものの、全く興味のないものを見せられた子供のように大袈裟にため息をついた。
ため息をついたのは、周囲にはおおよそ値段的にもう手が挙げられない値段になっただろうとしか見えないもの。心理作戦のような部分も伺える。
「君は興味はあるかい?」
付き人を装った[#da=1#]に声を掛けると、ややあって彼は「…いえ」と言葉を返した。
「服従や癒しを求めて人を買うなど…」
そこで彼は一度口をつぐむ。
「子供を奪われた親の心を癒す人はここには居ないのですね」
一呼吸置いて続ける[#da=1#]を見ると、あまり表情を表さない彼の瞳が実に残念そうに下を向いた。
その言葉を聞いて、実に満足そうな笑みを仮面の奥に隠した。
「子供から親を奪う権利が、彼等には無いという事に気付いた大人は何人いるのだろうね」
教授の言葉は、二品目を落札した事を告げる音で簡単に掻き消される位小さな声だった。
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