- Trinity Blood -2章
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「失礼ですが」
白塗りの壁に赤に金の装飾が施されたカーテン、身の丈を超える窓、目も眩む程の高い天井から吊されたシャンデリア。
黒を基調とした燕尾服の男が引き止めたのは、小柄な青年を連れた一人の男性。
「会場にお子様を連れて来られては困ります」
「お子様」というのはスーツを着た小柄な青年の方を指しているのだろう。
「彼は私の小間使いだ。実は先日少し足を悪くしてね、彼にいて貰わないと座るのに難儀するんだ」
着いた頃から少し右の足を引きずっているのは気にはなっていたし青年が隣で荷物を持って行動している辺り、男性の言う事に偽りは無いようだ。
「そうですか。失礼しました」
すぐに頭を下げてからオークション会場へ繋がる扉を開ける。
「いや、誤解を与える前に弁解しなかったこちらにも非はある。すまなかったね」
軽くシルクハットを持ち上げて口の端だけ静かに持ち上げると、男性は再び右足を少し引きずって開いた扉の中に足を踏み入れた。
傍にいた小間使いの青年も、足を引く男性の僅か前で彼を誘導しながら歩き始める。
通常室内では帽子を取るのが礼儀だが、ここは帽子を取る会場ではない。仮面をし、帽子をつけ、正装をして入るのが決まり。
燕尾服の男は静かに扉を閉め、足を揃えて背筋を伸ばし、次の客が到着するのを待った。
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