- Trinity Blood -2章
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この世界には賑やかな場所と、そして静かで穏やかな場所、喧噪し居心地の悪い場所がある。
ここはローマでも統治された、見た目は美しく華やかな街である。
自分を含め、民もまた同じ。
大厄災以降は世界各国で全面戦争が起こり、長きに渡る争いの果てに一時的に空いた安息の時。
平和なその時を選んで生まれて来た訳ではないが、この街で暮らす人間は今この瞬間を生きている世界が100%安全とは言い切れないが、運が良いと言っても過言ではない。
目的地に到達する迄、足を進めている。
その足元は少し出にくい様な印象ではあるが、噴水のある広場にと足を一歩ずつ確実に進めている。
薬が完全に抜け切っていないのが分かる。
世界がぼんやりしている。
歩きにくさを感じながら、それでも暫く行けなかった外の世界に進んでいく。
賑やかな大通りを歩いていくと、途中細く伸びる道へと足を向けた。
賑やかな街が少し、静かになった。
この先が目的地に繋がる道。
幼い少年がゆっくりと足を進めていく。
この細い少し薄暗い世界は、その見た目にも関わらず両手いっぱいに手を広げても両壁にその指が付く事が無い。
思っていたより広いのか。
それともこの少年の背丈が――
成長する事を忘れた少年は、見た目とは裏腹に立派な青年だ。
生命を引き換えにしたのか。
それとも能力を引き換えにしたのか。
この謎は、兄を葬った今でも解けない。
しかしこの成長しない身体。
好転させ任務に潜入しやすい場面が多く、今では役に立つ事が多いのであまり成長しない事は気にならなくなって。
怪我の功名とでも言うのだろうか。
それとも不幸中の幸い?
一番『良い』言葉が思い浮かばない。
足元へと視線を落とすと石畳が美しく光を放っている。
丁寧に敷き詰められた石畳のあるこの小路はとても美しい。
時間によって光り方の違うこの道は[#da=1#]にとって、お気に入りの小路だった。
太陽の光を吸収しその身で光を放つ石達は、どの宝石にも負けない位美しく輝いている。
時間帯によって表情を変えるその石畳を丁寧に、鑑賞する様に眺めながらゆっくりをその足を進めていく。
足元が眩しい。
太陽の光を吸収して乱反射すると誰かが言っていた気がするが、誰が言ったかは覚えていない。
確かに言われてよく見ると、石達はまるで自分から光を放っているかの様に錯覚する。
細道で薄暗い筈の世界にどうやって光が届いているのか謎ではあるが。
ゆっくり足を進めていると、突然世界が広くなる。
大通りの広さとは違うが、広がった視界の目の前で噴水がその存在を主張する様に眩しく跳ねている。
噴水の周りを均等な距離で取り囲んだベンチの一つに歩いていく。
小鳥の鳴き声、子供の笑い声、親であろう女性が子供を呼び止める声まで賑やかに響いていた。
この賑やかな景色がとても好きだ。
この音楽を奏でている空間は、とても居心地がいい。
お気に入りの場所の一つだ。
まだ少し肌寒い時期だが、この場所は、体温を感じる事が苦手な[#da=1#]にはとても居心地が良かった。
ベンチに古新聞の入ったカバンを降ろす。
「ん…っ」
一度深呼吸をする身体を伸ばして。
静かにベンチへ腰を下ろした。
カバンを膝へ置き直して、中から古新聞を取り出して丁寧に広げる。
楽しい読書の時間の始まりという訳だ。
誰にも、何事にも。
時間にとらわれずに、時間を使う事が出来る。
[#da=1#]の前の道を、賑やかな声が3つ駆け抜けていった。
!読んだよ!
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誤って削除してしまい、再構築を行いました。
かなり気に入っていたページでしたので残念…
多分また時間を見て編集します。
20220417