- Trinity Blood -1章
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カフスの向こうで、レオンの声が消える。
「あの…レオンさん?」
『なあ…俺に何か隠してんだろ?』
ごくりと、喉が鳴る。
「いや、あの…」
『発作ってなんだ?病気は無いって聞いてるぞ!お前まさかこの俺様に嘘つきやがったな?!覚えとけへっぽこ!帰ったら天罰喰らわせてやる!』
カフスとの音声が切れる。
「レオンさんすみません。[#da=1#]さんの事は…私が話していい事ではないんです…」
[#da=1#]には何度かレオンに話をする様に伝えた。
しかし幼い神父はこれを幾度も拒否。
知られる事を酷く嫌った。
説得に応じない彼の気持ちを尊重したいとは思っているが実際任務で長期彼と過ごす事も今後ある。
だからと言って、[#da=1#]を通り越して勝手にレオンに彼の話をして良い事ではない。
アベルは静かに息を吐いた。
しかし息を吐いている場合ではない。
そうだ。
今まさに。
レオンの目の前に[#da=1#]が横たわっていると思うと。
「…カテリーナさんに…すぐに知らせないと…っ」
彼に、危険が迫っている。
いや、いくらあの大漢が女性に対して手が早いのは知っているとはいえ…同僚である彼に手を出す、なんて。
レオンを信じたいが。
万が一の[#da=1#]の身の危険を考えるとアベルの気持ちは焦ってしまう。
気が付いたら、足が勝手に早足になっていた。
カテリーナの下に辿り着く頃には、アベルのすっかり息が上がってしまっていた。
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上着は脱がしたものの、水気を吸った僧衣を脱がせぬまま。
レオンは素早く脈を確認し、傍にあったテーブルクロスを、上に乗っているもの気にせずに引っ張る。
メモやペン、美しい女神が彫られた大理石の灰皿が柔らかい絨毯の上に落ちた。
「ちょっと触るぞ…すまねえな」
レオンはそれ以上は何も言わないで、とにかく吸えるだけの水分をテーブルクロスで吸い取っていく。
レオンが急所を突いて意識を失った[#da=1#]はレオンの腕の中でぐったりとその身を任せている。
雨に打たれたこの幼い神父が纏ったその僧衣で、レオン自身ももうすっかりずぶ濡れだった。
しかし自分の事を気にしている場合ではない。
窓を見ると[#da=1#]の体温を急速に奪った雨は、未だ轟音を上げている。
静かに床へ寝かせてから一度浴室へ行き、あるだけのバスタオルやタオルを持って戻る。
途中寝室へ寄ると、バスタオルをありったけベッドへ敷いた。
タオルは[#da=1#]の元へと持っていく。
傍に座って、顔を、髪を、身体を拭いてやると、身体が僅かに身じろぐ。
「なあ[#da=1#]…お前何でこんな過酷な世界で戦いに身を投じてるんだ?」
答える訳がない。
口元で何かを言っている様な気がするが、レオンのその耳でも聞こえない。
思いを巡らせつつ、レオンは可能な限り水分を拭き取っていく。
普段はあまり口数の多い方ではないし、ここまで感情を剝き出しにしない。
先ほど急に暴れ出した時には流石に驚いた。
そして誰を見ていたのか、殺意あるあの赫く揺らいだ瞳を思い出している。
強引にその意識を飛ばしたが、あの行為は赦されるものなのか。
そんなことを考えている内に。
可能な限りの水分を取り切って、レオンはため息をついた。
いつの間にかどこか安心した様な寝息を立てている[#da=1#]。
彼を見て、少し複雑になった。
「…ったく」
レオンは頭を乱雑にバリバリと掻いてから[#da=1#]を慎重に抱き上げてベッドに運ぶ。
大柄な漢のその腕に小さく収まる[#da=1#]。
バスタオルを敷いたベッドへとゆっくり寝かせる。
なるべく水分は取ったつもりだがベッドはきっと水分が染み込んでしまうだろうから、ホテル側に何と言い訳するかを考えないといけない。
あまり良いとはいえない顔色の[#da=1#]髪の滴を払い、溜め息混じりに小さく笑った。
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何だか長くて良く分からない状態で終わってますが、だんだん[#da=1#]さんの謎を明らかにしていきたいと思います。
また来て下さると幸い♪
ありがとうございました☆
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20210826
加筆修正を行いました。
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