- Trinity Blood -1章
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幼い命はレオンの心配をよそに、目前の後ろの死を理解しながら目の前の扉を護っている。
「…」
彼のコードは“リジェネーター”だが、今まで[#da=1#]の能力を目の当たりにした事が無いレオンにとって、彼の能力は未知。
絲を使うなら彼のコードは“リジェネーター”に非ず。
「扉が開くのは時間の問題だな」
一見アクセサリーの様な腕輪に付いている部屋の鍵程小さな十字架が高い音を立てた。
「――任せたぜ」
目をコードに向け、止めていた手を再度動かし始める。
「…はい」
同時に雷が落ちた様な大きな音がして扉が開き、残党が流れ込む様に飛び出して来た。
「どけガキっ!!お前等『火の猛獣』を守れっ」
「死ねっ!!」
「『火の猛獣』を渡すわけにはいかねぇ!!」
次々と声を上げて襲い掛かってくる残党を前に、それには目もくれず作業を続けるレオン。
一方で立ち塞がる[#da=1#]は、彼等を前に一礼をする。
「このまま引き返して下さい」
「何だと…?邪魔だ退けガキ!!」
リーダーらしき男が[#da=1#]を威圧するが、それには反応を示さずにただ彼の言葉を聞いていた。
「死にたい様だな?…殺れっ!」
一斉に襲い掛かって来た彼等を見て、[#da=1#]は目を閉じた。
「それでも死に急ぐか――」
鍵程小さい十字架を引き、中から1㎜にも満たない絲を繰り出した[#da=1#]は、一歩だけ前に出た。
同時に旋律を奏でるかの様に目まぐるしく手が動く。
「な…?!」
「俺の…て?」
「…おま…身体がお…ちて」
「ち…?」
[#da=1#]が彼等に背を向けた時。
それが――
終わりを告げた瞬間だった。
「 」
「 」
「 」
声を上げる間もなく崩れ落ちていく残党達の血飛沫を背中で受け、より一層に僧
衣が黒に染まる。
「…」
何かを告げる様に十字を切った[#da=1#]の後ろは、今や肉の塊と相成ったモノが落ちていた。
「…後少しだからな」
小さく笑って見せたレオンに、[#da=1#]は頷いた。
「…よし――」
最後のコードを抜いたレオンは、数字が止まった事をモニターで確認する。
「――っ」
「?!」
弾けるような音と共に膝をついた[#da=1#]の後ろを見たレオンは、次の瞬間チャクラムを飛ばした。
「ぐあぁあぁぁっ」
途端に手足が跳び、そのまま頭を飛ばして音を立てて朽ち果てる。
「[#da=1#]…っ」
膝を付いたまま動かない[#da=1#]の身体は、微かに震えた。
「くそっ」
撃たれた位置は目安としても心臓に近い。
「もんだ…い…ないで…す」
「何言ってるんだ」と言おうとしたレオンが違和感を感じたのは、[#da=1#]の身
体が僅かに光ったからだ。
「!」
小さく丸まったまま膝を付いた[#da=1#]の身体が、みるみる光を増していく。
「“リジェネーター”ってのは…こういう事か」
自己回復能力を持っている事から“リジェネーター”としてコードを登録されているのだ。
緊張の糸が切れたようにため息をついて、レオンは笑った。
「さて――」
・