- Trinity Blood -1章
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差し迫った時間を「後大体幾ら残っているのか」とさっき見た時計から大体の目安で時間を思い出しながら。
アベルから連絡が無い事で気持ちだけが焦っていく。
冷静さを欠く。
取り外せる事が分かった『火の猛獣』は、コードが解除された段階で運び出せる様に固定具を手際よく外していた。
幼い顔立ちの神父は扉の前で、施設に残った残党がこの『火の猛獣』を取り戻さんと襲い来た時の為に待機している。
残り時間は?――
トレスの様に正確に言うことは出来ない。
さっき別の部屋で時計を見た時から考えると、あと1分と30秒位だろう。
脳内に時計が組み込まれていると思える位の正確さだ。
レオンは「後少しだ」と呟きながら可能な限りボルトだけを抜き取っていく。
解体する事で本体である『火の猛獣』と繋がったコードはアベルからの連絡が無いと機材を取外す事は出来ない。
あと幾つのボルトがあるのか確認し、底にあるボルトへと手を伸ばす。
「って」
手を伸ばした先に触れた鋭く尖った部品が、深く手を入れたせいか左手甲を薄く切ってしまった。
手袋をしていなかったら、もっと深く切っていたかも知れないが。
ボルトを無事外し切って、後はアベルの連絡を待つばかりになった。
ボルトを外し切った分、不安定に台へ乗っただけの『火の猛獣』を支えながら「くっそ、何手間取ってんだ」と口元で唸る。
さっきから扉の向こうで途切れ途切れに聞こえる声は、この研究施設の残党達の声だろう。
彼等の目的は『希望』である『火の猛獣』を取り戻す事。
『レオンさん…、お待たせ、しましたっ』
「待ち兼ねたぞ!いけるのか?」
『ええ…お願いします!移動可能です――回収して、下さい』
途切れ途切れの通信だが、はっきりとレオンの耳に届く。
「ヒヤヒヤさせやがって…感謝するぜっ」
『火の猛獣』を持ち上げた。
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20211013
大幅な加筆修正を行いました。