- Trinity Blood -1章
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扉のコードを解除して入った先は思ったより小さい部屋だった。
天井にまで走る大きな亀裂。
今にも崩れ落ちてしまいそうな。
「大天災」以前の建物だから仕方がないのだろうが。
『火の猛獣』を目前にして、レオンはため息をついた。
思ったより、でかいな――
こんな地中深くに隠されていたのだから、もう少し小さいものだと思っていたが。
大きいと言っても、レオン程の大漢ならば持ち運べそうな大きさではある。
運び出す時の事を考えてなかったのか?
いや、のんびり思案している場合ではない。
背中で銃声が響く。
目をやった先で、男の手が地面に落ちた。
空間を切り裂く血飛沫。
崩れ落ちる肉片をその目で追っている。
悲鳴が上がる空間で静かに佇んでいる幼い顔立ちの神父の僧衣の裾を引っ張り、こちらへ引き寄せる。
どんな時でもなるべく身体に触れない様に細心の注意を払って接している。
余裕は無くても、レオンはそこだけは気を付けていた。
裾を引かれる。
ざっと全身を見遣り、大きなケガが無いかを確認する。
「おい…、大丈夫なのか?」
引き寄せられた小さな身体が、僅かに強張った。
「…はい」
冷静を装いながら、少年の軽く見やってからため息一つ。
「無理だけはするなよ?」
離れた手を追う様に眼をやれば、ここまで少し前を先導して辿り着いたレオンの横顔が見えた。
少し余裕が無い様な面持ちだった彼を見た[#da=1#]は、それでも不安になる事はなかった。
「もうすぐ’クルースニク’が作業を終えるからな」
今回の任務は回収だが、回収が難しければその場で破壊する事が重要だ。
回収が勿論理想だが、難しければこの施設ごと一切を破壊をしなければならない。
「施設側の人数が思ったより多いな…回収作業はやるから、無理だけはすんなよ」
手元に小型のリモコンを握らせる。
「これも持っとけ。お守りだ」
爆破させる箇所は任務に赴く前に聞いていた通りだろう。
「さて…――俺様はこの『火の猛獣』ってやつを回収できるのかやってみるとするか」
ぐるりと周囲を見渡して。
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20211011
大幅な加筆修正を行いました。