- Trinity Blood -1章
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既に夜も黒い隅を落とした様な闇に囲まれて、道端には酔い潰れて倒れている人を見掛ける。
小さな小瓶を片手に。
足元も少し覚束ない様子で歩くレオンに、[#da=1#]は後ろからただ付いていく。
大した量ではないがスーツの上着や、荷物を持って。
「イイ女にはイイ酒…ってか――」
呂律も回らない様子で、ポツリと呟く。
見上げると月は妖しくその光を放っている。
風が吹く。
その風の香りに乗せられて、浅黒の肌を持つ大漢は風の吹き抜けたその反対を振り返る。
待っていましたとばかりに瞳をギラつかせるが、それに気が付いたのは[#da=1#]だけ。
「…出会ってしまったわね?
――…私に」
美しき刺客。
赤い口紅の女が、月に照らされて妖しく笑っていた。
声と共に鋭い衝撃音が空気を割って耳に届く。
その勢いを語る様な砂埃と体に響く様な轟音が身体中を包み込む。
口の端を大きく吊り上げた女の唇の下から覗いた鋭い牙が彼女の正体を語っていた。
「人間が持つ、唯一の美しいモノ――
私に早く…飲ませて頂戴」
女の声が静かな夜に響く。
風が吹く。
砂埃が僅かに舞った。
喉を鳴らしながら砂埃が落ち着くのを待つ。
「アーネスト・クランケだな?」
足を進めようとした足を留めて、辺りを見渡す。
微かだが、残る轟音と砂が流れる音の中に引き攣った様な音が聞こえる。
「…誰なの?」
「お前を聖務執行妨害及び殺人及び殺人未遂の現行犯として逮捕する」
掠れた小さな声だったが、不思議とはっきり聞き取れる。
きっと
自分が生き残るためなら
当然誰をが牙を向く
生存本能の一つではある
理解はしている。
しかし、それが死者を幾人も出している事が問題だった。
合計14名。
レオンが15人目の犠牲者となる、筈だった。
「それで?
これから私はどうなるのかしら?
――やっぱり捕まらない事が一番よね?」
こちらを向いた女の瞳がとても凶器めいていて。
妖しい色を帯びていた。
「おっと――
アーネスト・クランケ、動くと死ぬぜ?」
勝ち誇った笑みで笑うレオンに、アーネストは強く舌打ちして憎々し気に彼を睨み付けた。
「…仕方ないのよっ!生きていく為だものっ!!」
悔しそうに唸って声を荒立てる彼女を、レオンはじっと見つめていた。
「生きる為に必要なら…私は誰をも殺すのよっ!」
立ち上がった彼女は凄まじいスピードで――
耳元で風が斬れる。
小さく
掻き消えそうな小さな音だったが
しかし女は2、3歩よろめいて、そのまま違和感を持った気がした。
耳元で唸ったその音に
「―――っ…あ?!!!!!」
目の前に見えた細い光。
月の光を受けた蜘蛛の糸の様な細さを保った絲。
光が何か理解出来ない内に、息が出来ない事に気付いた。
「俺様に手を出したのが命取りになったな。なぁ…アーネスト?」
未だ視界の悪い景色に夜の闇も手伝って、ぼやけた世界をアーネストが目を懲らして必死に見た。
「教皇庁国務聖省特務分室派遣執行官レオン・ガルシア・デ・アストリアス
コード“ダンディ・ライオン”
お前の悪事、隅から隅までお見通しだぜっ!」
「ちっ!こ、の…っ」
尚も抵抗を続けようとしたその瞬間に。
「 」
声が出ない。
音が出ない。
アーネストは崩れ落ちる。
もはや痙攣する間もなく――
そのまま気を失って倒れた。
「大丈夫か[#da=1#]?」
さっきまで見せていた覚束ない足取りもどこへやら。レオンはしっかりとした足取りで[#da=1#]に近寄った。
「…はい」
言葉を交わせない身体がぐったりと横たわっているしている。
「――アーネスト・クランケ
聖務執行妨害及び殺人及び殺人未遂の現行犯として逮捕するって、まあ聴こえちゃいねえだろうけど」
首に絡めた拘束の絲を解いた[#da=1#]は、レオンがこちらを見ている事に気が付いた。
「やっぱりお前は最高の相棒だぜ、[#da=1#]」
子供の様な笑顔のレオンが、大きな掌で小さな[#da=1#]の頭を撫でた。
!読んだよ!
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レオンが可愛い顔で笑ってるシーンを過去どこかで見掛けて、
それ以来ずっとその顔を追い掛けているんですが…
どこで見掛けたんだろうか。
自分が描いたんだっけな…
覚えてないんだよね…
描くか…
いっその事描くか悩んでる
どっかのタイミングで描けたらいいな…
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20210929
加筆修正を行いました。