- Trinity Blood -1章
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光が収まるのを待って、アベルは『青い翼』に繋がる扉を開ける。
「おや…」
人らしき形。
それは、この部屋へ向かう前には影も形も無かった。
「この形…、人の形では――」
何故だ。
「あの、…」
声を掛けると、『青い翼』をコアとしたらしい人の形をしたモノがこちらを向いた。
『お前は誰だ』
「え…」
驚く事に、その人らしき形をしたモノは言葉を喋った。
何故だ。
アベルの脳裏に浮かんだのは「どこかで見た事がある」という一点。
その顔立ちは、何故かどこかで。
『同じだ…』
アベルが問いかけるより先に。
『同じ…あいつと――』
男はぼんやりと青く光を放っていて、全体的に立体映像の様。
これはコアが創り出している立体映像なのだろうか。
『俺は赦さない…こんな形になる事が望みではなかった』
低く唸る様な声で。
『’亡霊’のせいで…!』
アベルには分からなかった。
何を意味しているのか。
しかし。
『[#da=3#]と同じ…同じ僧衣だ!!』
アベルの首へ、立体映像が迫る。
「ぐ、うっ」
青く光を放ったその部分が肌へ当たると、痛みが伴う。
「ん…くっ――
『青い翼』さん…っ
大人しく降伏して下さい――!」
その手を何とか払い退けると、アベルは青い光を放つその人の形をしたモノと距離を取る。
「私は教皇庁国務聖省特務分室派遣執行官
アベル・ナイトロード神父’クルースニク’。
『青い翼』さん、いや――
[#da=1#]・[#da=2#]さん…!
あなたを危険人物とみなし拘束します。お願いだから抵抗はしないで!速やかに投降して下さい!」
『青い翼』が確かに[#da=3#]と言った。
この名は、確かに同僚の幼い顔立ちのあの神父がひた隠しにしているその名だった。
アベルは『青い翼』のコアへ呼び掛ける。
「お願いです、降伏して下さい…!」
『俺は…っ!’亡霊’に復讐する!』
’亡霊’というのは、一体何だろうか。
アベルは聞き覚えのない言葉に。
しかし目の前の人の形をした『青い翼』のコアの光が強くなってる,
復讐を秘めた力は強い。
憎悪の力は、自らもよく知っている。
「いけません…!それ以上は!」
光を放つ力が強くなる。
身体の表面が焼ける様な感覚。
「ぐ…うっ――
お願いします…[#da=1#]さん!やめて下さい!」
皮膚の表面が焦げる様な感覚。
アベルは皮膚が焼ける事も厭わずに####の肩を掴む。
両肩へ乗せたその手は焼ける。
青い光を纏ったその男はしかし、アベルを通して別の誰かを見ている。
きっとその誰かとは。
いや、考えるなっ――
「’亡霊’って何です?誰です?!
兎に角[#da=1#]さん、一度落ち着いて!」
『’亡霊’に…っ!アイツに復讐を!!』
しかし。
咆哮を上げたその男はもう、アベルの声は届いていない。
物体として、コアとして回収する方が易いが自我を植樹されているとなると難しい。
人として回収したいがもう難しいだろう。
「このままではいけない――
やむを得ません…っ」
この部屋を出ると、人間に絶大な影響がある。
「クルースニク02――
――40%限定起動
偽りの道を示す者の翼は
一見白く汚れなき翼を持つ
それは何色にも染まる
汚れ多き翼
――――承認」
「どうか――」
血の様に赤く染まった大鎌は一瞬閃き、分厚いガラス窓を叩き割った。
青が消える。
部屋の中、黒き翼は一切の色も寄せ付けずにただその「黒」を纏っていた。
「どうか安らかに…」
一度死を迎えた筈の男は再び「死」を迎えた。彼はその死を待ち侘びたように眼を閉じたように見えた。
黒き翼を持つ者は
真に正しき道を歩む者なり
汝偽りの翼を持つべからず
真に正しき道を歩め
「――…エィメン」
アベルが大鎌を振り下ろすと、その瞬間偽りの翼が青の世界一面に広がる
黒き翼を持つ天使がゆっくりと眼を開けると、次の瞬間世界は赤に染まる
神に背きし者は
赤に染まるより他ない
黒き翼は赤に染まらず
白き翼は赤に染まった
「名もなき堕天使よ…
どうか安らかに――」
光を宿さなくなったコアは、回収された。
「早くお二人と合流しなければ…、」
アベルは肩を落とした。
植樹された人物は、誰かは分からなかった。
ただ、人としての形を保ったモノも過去はやはり人間だった筈。
足取り重く、その部屋に背を向けた。
!読んだよ!
*別タブが開きます*
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『青い翼』は、[#da=1#]さん、[#da=3#]さんの実兄[#da=1#]の設定でした。
2005年から書き始めた作品でしたが、詰め込み過ぎてごちゃごちゃ担っていたので大幅に作品を書き換える事にしたものです。
ですが今回も、ちょっと言葉足らずな部分が出てきます。
残念な事に文才はないので…^Ч^
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20210924
大幅な加筆修正を行いました。