- Trinity Blood -1章
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目の前に躯のどの部分か判らぬ状態のガラクタと呼んでも可笑しくない部品と共に1人の、いや、1台の機械が運ばれて来た。
思わずパイプを落としそうになった紳士は、しかし僅かな沈黙の後その表情を明るくさせた。
「これはまた…大した研究材料だね」
興味を持った様子で、細部まで無駄なく創り上げられた機械化歩兵。
可能な限り全ての破片といっていい部品を総て集め上げて貰った。
運ばれた機械を目前に、お気に入りの出窓で古新聞を読んでいた幼い顔立ちの神父が傍へやってくると、遠慮がちに紳士に話しかける。
「あの
…この方、治るんですか?」
まだ年端もいかぬ子供。
声変わりしていない神父は、’教授’は「ふむ」と呟きながらバラバラになった機械片を眺めていた。
「そうだね…時間は多少かかるが」
パイプを咥えた。
「さて、忙しくなるね」
そう言いながらも’教授’の瞳は輝いているように見えた。
まるで新しい玩具を渡された子供の様な瞳を見ている様だった。
かくて。
完璧な姿を取り戻す為に、教授は機械の修復に取り掛かった。
資料集め、修理機器や特別な部品の発注、修理と。
大学教授としての執務の合間を縫って修理に全精力を費やされた。
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幾時間費やしたのだろうか。
ドアを叩くと、一息置いて「どうぞ」と聞こえたので扉を開けた。
「失礼します、猊下」
中に入ったのは’教授’と幼い神父、それから1人の男。
出迎えたのは左に泣きぼくろがある女性と、緋色の法衣を身に纏った美しい女性だった。
「ごきげんようワーズワース神父、イェーガー神父」
「あら…直ったのですね」
書類を纏めて机の隅に置いてから、3人を美麗なる鳶色の瞳を持つ女性が立ち上がった。
「気分はどう?イクス神父」
女性の瞳が、鋭いガラスの様な瞳を覗き込んだ。
「肯定。カテリーナ・スフォルツァ枢機卿」
小さい機械音が聞こえた。
「あなたのコードネームは――」
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