- Trinity Blood -1章
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「…[#da=1#]?」
一向に口を開かない幼い神父にレオンが覗き込む様にこちらを見ている。
「具合でも悪いのか?」と声を掛けるが、一方の[#da=1#]は静かに首を横に振った。
「そうか…びっくりさせるなよっ」
背中を叩く。
その力は別に強い訳ではない。
痛いより、驚きが勝ってしまった。
思わず漏れそうになった声を両手で塞ぐ。
「お前ってホント無口だなっ、拳銃屋そっくり」
背中を軽く叩いて笑うレオンの後に気配一つ。
「俺がどうかしたか、レオン・ガルシア・デ・アストゥリアス神父?」
「うおっ?!」
振り返った先で。
そこには整った顔立ちのレオンと比べると遥かに小柄といえる青年が立っていた。
レオンを見下ろしている。
「脅かすなよ、ったく」
「脅かす?否定。俺は質問しただけだ。回答の入力を」
「いや…これは俺と[#da=1#]の秘密だ」
にやりと笑うレオンに、トレスは「回答になっていない」と続ける。
一方でトレスに何と説明したらいいのか悩む[#da=1#]。
「アベル・ナイトロード神父より、[#da=1#]・[#da=2#]神父を半径50㎝以内に近寄らせない様に託っている」
「あのへっぽこ…俺は男には興味ねえんだよ」
ぼさぼさの頭をバリバリと掻いてからレオンは盛大な溜息をついた。
「いいか[#da=1#]、俺ぁお前さんがどんだけ綺麗な顔立ちだったとしても男には興味ねえからな」
詰まりつつある2人の間に、トレスが入り込む。
「卿の発言の意図が不明瞭だ。何が言いたい?」
「明確に、女しか狙っていねぇって事だよ」
「肯定。シスター・ケイト・スコットからは『女性が半径3m以内に近付くと馬でも妊娠する』から、女性と接触した場合は注意する様にと回答があった」
「おいおいケイトの野郎…」
トレスの後ろで覗き込む様にこちらを見ている[#da=1#]に不審な印象を与えていないだろうな。
僧衣の端を少しだけ持っている。
トレスはこの行為に何の疑問も持っていない様だった。
普段ならこういう行動をしたら、問い詰める筈だからな…――
「まあ、男は喰わん。安心しろよ?」
こちらを向くその表情は、柔らかさを含んでいる。
この表情を見ると、粗野な振る舞いに疑問を感じ得ない。
「さて…じゃあとりあえず俺は腹ごしらえでもして来ようかな…お前さん達も来るか?」
立ち上がって、身体をぐっと伸ばす。
「否定。俺には必要ない。ここで巡回の時間迄待機している」
「…くっ…と。分かったよ、頼むぜ?」
立ち上がったレオンは[#da=1#]に合わせ身体を低くして目線を合わせる。
前髪で器用に隠れたその瞳を、覗き込むレオンに、僅かに[#da=1#]はその身をトレスへ寄せた。
「お前さんはどうする?」
聞かれて[#da=1#]はトレスの方を見上げる。
トレスは僅かな機械音と共に、自らの後ろへその身を隠す[#da=1#]へ瞳を向けた。
「卿は栄養補給が必要だ。昨夜から何も口にしていない。急ぎ栄養を補給する事を推奨する」
「え、お前飯食ってないのか?…おら、行くぞ」
僧衣の裾を引っ張る。
突然の事でバランスを崩し掛けた[#da=1#]を上へ引き上げてやる。
持ち直した所で「じゃ、何かあったら連絡してくれよ?拳銃屋」と、後ろでぴたりと止まったままのトレスに声を掛けて歩き出す。
「肯定。ただし神父レオン、彼の半径50㎝以内には近付くな」と、声だけが追い掛けてきた。
「おお。ま、努力するわ」
そのまま扉を潜り、部屋を後にする。
引っ張られたまま、それでも歩くスピードは普段よりゆっくりとしている様な。
レオンと共に扉を潜って、そこで僧衣の端は解放された。
「行くぞ!」
何事もなかったかの様に、頭の後ろで手を組んでレオンは歩き出した。
廊下を進み、階段を降りて。
後ろから[#da=1#]がついて来ている事を確認していた。
「あの、っ」
突然。
「おっと――」
後ろから引っ張られる感覚。
引かれた方を振り向くと、幼い顔立ちの神父がこちらへと向いている。
前髪で器用に隠れたその瞳は、しかし少しだけ隙間からその瞳を覗かせていた。
一見茶色の瞳だが、彼の目は紅く、真ん中は血の様な赫さに見えた。
「どうした?」
なるべくその瞳に意識を向けない様にして、少し身体を低くした。
瞳を逸らす様に下を向いた[#da=1#]に対し、しかしその瞳に気付かなかった顔をしてレオンは聞いた。
「…さっきは…ありがとうございました」
さっき?
一体何の事だろうか。
しかしレオンはすぐに思い至る。
「あぁ!新聞か?気にする事ないぜ」
[#da=1#]に笑いかけるレオンの瞳は、優しい光を担っていた。
「…でも」
「じゃ、ついでに買い物付き合えよ」
レオンは再び歩き出す。
同じく歩き出した[#da=1#]にレオンは歩幅を合わせてゆっくりと足を進めた。
*
ちょっと直したら
つぎはぎっぽくなった(笑
2回目の修正を行いました。
20210821