- Trinity Blood -1章
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アベルが服の袖を引く幼い顔立ちの神父は、まだ目醒めて間もない[#da=1#]。
バルコニーへ出た途端、柔らかな風が2人を包む。
横に並ぶ様に立ったアベルをぼんやりとした視界の中で確認しながら、しかし彼は警戒する様に慎重に長身の神父の横へ立った。
「[#da=1#]さん…レオンさんにまだ言ってないんですね?」
風に吹かれながら、[#da=1#]は頷いた。
「このまま調査と平行して例の企業と彼等の会談を待つとなると、かなりの時間レオンさんといる事になります」
彼の言いたい事は分かっている。
わざわざその事を言いにこの場所まで足を運ぶなんて、その熱意を評して言ってしまうのが普通なのだろう。
「早く…言ってしまった方が良いのでは?」
アベルの説得を聞きながら、無理やり頭を覚醒させようと一度強く瞳を閉じた。
[#da=1#]はガラス越しに見えるレオンを血の様に赫く染まりつつある瞳に映す。
おおよそ神父というには無理がある大柄なレオンは、こちらの動向を伺いつつ資料に目を通しているように見えた。
「必要ありません」
「[#da=1#]さん…っ!」
平坦な、しかしどこかうつろな声で言ったがアベルは熱が入った様子で気付かなかった。
「そんなんじゃ…あなたが壊れて「壊れそうなのは」
子供の声がアベルの声を遮った。
「壊れそうなのはナイトロード神父…あなたではないですか?」
「また発作が起きたらどうするんですか…?」
[#da=1#]は例の発作について心配したカテリーナが、レオンとの任務に支障が出ない様にアベルを送ったらしいという事が、何となく分かった。
「あなたには秘密がないのですか?」
今回トレスは別任務の為同行していない。
[#da=1#]は対面する銀髪を雑に纏めた長身の神父へとその瞳を向けながら言った。
「自分は人に言えない秘密はないと言い切れるんですか?」
その瞳を覗き込んだアベルは、何も言えないまま言葉を詰めた。
俺だって秘密はあるんだ
そう言ったレオンの言葉が脳裏に浮かぶ。
「誰だって言いたくない秘密はあります。それはナイトロード神父、貴方もきっと同じ…」
アベルを見上げた[#da=1#]は、強い瞳で彼を見ていた。
幼い神父は、部屋に繋がる扉を向く。
アベルは彼を引き留めようと手を伸ばし…
「!」
しかし。
その手が[#da=1#]へと届く前に、突然視界から幼い神父が消える。
薬の効能が完全に抜けていなかったのだろう。
冷静に分析している場合ではないが、世界はぐにゃりと波打って。
足元を取られた様に[#da=1#]は地面に倒れこんだ。
視界がグラつく。
何かに捕らわれた様に、動けない。
「[#da=1#]さん?!!!」
足元で崩れ落ちた[#da=1#]の元へ寄り、身体を屈めた途端。
中と外を隔てる鈴が
高い音を立てた
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