- Trinity Blood -1章
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「こんにちはー。…あれ、[#da=1#]さんは?」
とぼけた口調で挨拶をしたのは長身で今にもぽっきりいってしまいそうな、レオンと同じ僧衣を身に纏った神父だった。
「白々しいぞへっぽこ。いくら良い部屋に泊まりたいからって上司に直接掛け合わなくても良いだろ?」
出迎えたレオンは不機嫌な声で不満を漏らす。
中に入って「うわー!」「これは豪華な!」と声を上げている同僚にため息をついた。
「[#da=1#]はちゃんと仕事やってくれるし、拳銃屋みたいに文句言わねえし…」
ドタドタと荒い足取りでソファーに向かうと、先程まで座っていた席へどかっと座り、ボサボサの纏まりのない髪を掻く。
「だって私、こんな高級ホテルなんて縁もゆかりもないんですよ!私だってこの高級感を少し位味わってもバチは当たらないと思いません?!」
「煩せえ!この万年金欠野郎!逆立ちしたってこんな処に一泊する余裕もねえくせに!」
「あ、酷い!私だってここでお茶を一杯頂く位できますよ!」
「嘘つけ!ってか,
でかい声出すなよ![#da=1#]が起きるんだよ!黙って座っとけ!」
口を尖らせて「分かりましたよ」と言ってからアベルは向かいのソファーへ腰を下ろした。
「あ、これが資料ですか…ふむ」
普段どんなにふざけた態度をとっていても、アベルの行動には一部目を見張る事が多々ある。
真剣に資料を睨んでいる色素の薄い、真冬に凍った湖の氷の様な色をした瞳は、次々と資料に並んだ膨大にな文字を流れる水の如く読み解いていく。
「幾つか怪しい番号が浮かんでる。でもそれ以外は大抵大人向けの通信して楽しんでやがるんだ」
この間見ようとして[#da=1#]に注意された事は伏せて、レオンは溜め息をつく。
「大人向け、って…まさかレオンさん?!駄目ですよお仕事中に!それに[#da=1#]さんはまだ20歳にもなってないんです!18禁番組ですよ?!大人の番組ですよ?!レオンさんみたいな大人に育てないで下さい!」
「何でそっちに話が逸れるんだよ?!俺がいつ[#da=1#]にエロ番組見せたって言った?!大体18歳未満お断りの番組なんて、今時建て前だけで10歳過ぎたら大抵皆見てるんだよ!!お前は結婚前の娘に厳しいお父さんか?!」
「何言ってるんですか!大体レオンさんと何日もここで過ごしてるだけでも危険なのに、これ以上悪い教育をされたら困るんです!」
「俺はホストのマスターかよ?!こんな広い所で男2人きりでスイートで泊まって、ホテルのフロントマンには『出張と偽ってお楽しみするのはよくあるんですが、ホテルの設置品等には手を付けないで下さい。後片付け大変なんで』って言われて、俺等は初日からホモ扱いなんだぞ?!!」
「レ…レオンさんまさか…食っちゃってないですよね…?!いくら男同士は妊娠しないって言っても…それは大変です!」
「やるかボケぇ!」
「いやでも!レオンさんは禁欲生活を余儀なくされてるんですから、[#da=1#]さん相手にクラッとくるなんて有り得ない話じゃないじゃないですか!」
「有り得ねよよこの妄想野郎!!」
「いや…確認させて下さい…っ!!」
「あのなっ――…て」
急にトーンが落ちる。
レオンは「すまねえ…起こすつもりはなかったんだけど…」と申し訳なさそうに言った。
ベッドに寝かせていた[#da=1#]が寝室から出てきたのだ。
まだ薬が完全に抜けなていないだろう、表情がややぼんやりとしている。
もちろん瞳はあまり見えなかったが[#da=1#]は確実に今レオンと目が合っている。
「なぁ[#da=1#]…このへっぽこに俺はまだ疚しい番組見てないってちゃんと言ってくれ!」
何の話か分からない様子で首を傾げるが、言葉を発する前にアベルが割って入る。
「[#da=1#]さん、丁度良かった!レオンさんに何かされていませんか?」
「なに、か…とは?」
薬のせいかまだぼんやりとしている頭で2人が今までどんな話をしていたのか、どういった返事をしたらいいのか。
頭が回らない。
返事を待たずに[#da=1#]の傍へ寄り、服の袖を引く。
「あの、少し話を…お願いします」と言うなり。
足元がおぼつかない彼を引っ張っていく。
レオンはアベルの行動を複雑な心境で見守っていた。
赫い瞳は、助けを求める様に一瞬レオンへと向いた…様な気がする。
「薬を打ってるんだから、無理をさせないでくれ」とベランダに向かう2人に言葉だけで追いかける。
レオンの言葉を受けて「分かってます」と答えながらアベルは手を振ってベランダへ向かった。
「…あまり追い詰めるなよ?」
その言葉はベランダへと繋がる扉にぶつかって、アベルの耳には届かなかった。
…………‥‥‥‥・・・・
お互いに色々隠したまま話は進んでいきます。
さて…次回はどうなるのやら…←
20210830
加筆修正を行いました。