- Trinity Blood -1章
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
・
’教授’が前回の発作を心配して送ってくれた軽い睡眠薬を打ってから、[#da=1#]をベッドへ運んでやった。
取り乱した際に意識を飛ばしたという報告をしたが、その後すぐに一式の薬を送ってきたのだからきっと多少の憤りがあったに違いない。
なるべく同意の下打つ様にという事だったが、突然の事だったし、前回の事を踏まえ、注射器を前に打つ事は説明していた。
[#da=1#]の同意は一応その時に確認している。
レオンは何も言わずに隣へ座り、もう2時間程目覚めるのを待っている。
薬で眠っているのだから、起きる訳もない。
しかし軽いものだと説明を受けていたから、それほど長い睡眠作用はないだろうとは思っている。
’教授’は彼の事をとても大切に扱っている様だったから、効果があっても数時間だろうと仮定はしていた。
聞きたい事はある。
[#da=1#]が先程言った名前。
それは紛れも無く[#da=1#]の名だった。
何か意味があるのかと考えてみるも、レオンは履歴上の彼しか知らない。
まだあまり会話らしい会話はしていない。
しかし今のやり取りの中で、[#da=1#]が偽名でないかと疑うのは簡単だった。
聞いてしまう事が実に簡単な事か、分かっている。
しかしこれは…これは勘だが、彼を形成した根底の部分を示すものなのでは?
もしそれが正しいものだとしたら。
「…まてよ」
じゃあ。
じゃあ目の前のこいつは一体…誰だ?
レオンは息を呑んだ。
「おい…冗談だろ?」
予想すればするほど、それは真実に迫ってしまう。
気が付いてはいけなかった、気はしている。
思考を、止めなければ。
勝手に手が動く。
毛布に手を掛け、ゆっくりをずらして。
手を、止めなければ。
心臓が耳まで上がって来た様な異常感を持った。
わざわざ確かめなくても、きっとこの仮定が正しい事は何となく分かっている。
そして踏み込んではいけないという事も。
レオンにはもう確信すらある様な。
薬が効いていて、抵抗など一切ない。
衣服へその指を伸ばして。
瞼を閉じる。
視界を覆う。
俺はどうしたら…――
・