- Trinity Blood -1章
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
盛大に腹の虫が空腹を主張した。
「あ?」
ふと資料から目を離す。
時計を見ると、成程腹も鳴る訳だ。
向かいで仕事をしている小柄な幼い顔立ちの神父へ声を掛けようとして言葉を止めた。
前髪で器用に隠れたその瞳は間違いなく閉じられている。
「…寝てるのか?」
テーブルに積み重ねられた資料を読みながら、[#da=1#]は静かな寝息を立てていた。
喜んでいいものだろうか。
最初は警戒されている様な気がして、気が付いたらこちらを見ていたように思うし、目の前でうたた寝する様な事は無かった。
[#da=1#]は右に傾いていて今にも倒れてしまいそうだったから、レオンは彼を横に寝かせたようと手を肩と膝裏にそっと差し入れる。
持ち上げた途端。
やけに手応えがない。
力の入れ方も変わってくる。
慎重に身体の向きを変えて、レオンは[#da=1#]を起こさない様にそっとソファへ寝かせてやる。
そのまま床に座り込み、[#da=1#]の寝顔を覗き込む。
眠っているからか、こうしてレオンが前髪を触っても微かに指が動く位でいつもの様な拒否がない。
彼は実年齢より少し若く見える。
まだ幼い少女の様だ。
10歳の頃に事件に巻き込まれ、実年齢よりも成長が著しく遅れているらしい幼い顔立ちの神父。
しかし彼は立派な青年である。
「なぁ[#da=1#]…お前やっぱり」
言いかけて、レオンは止める。
彼が小さく身を捩ったからだ。
「眠れるお姫様を襲ったりはしないから安心しな?」
そう言って立ち上がりかけた時。
「 」
少年が口元で何か呟いた。
[#da=1#]の傍に寄って耳を立てる。
2、3回小さく「やめろ」と唸ってから、[#da=1#]は急に声を荒げた。
「やめろ[#da=1#]…っ!」
それは普段の[#da=1#]からは聞けない位の悲痛な叫び。
掠れたその声は、普段は小さな、しかし確実に耳に届く声。
しかし今耳を貫いたその声は、荒々しく何か、凶器を思わせる様な声だった。
傍で耳を近付けていたレオンにとっては飛び上がる程、大きなの声。
[#da=1#]は荒く息をしながらも自分が悪夢から目覚めた事に気が付いて、自らを抱いた。
肩で荒く息をし、よほど夢が怖かったのか、その白くやや不健康そうなその頬には涙が伝っていた。
レオンは小さく震えるその肩に触れようとして、そしてその手は途中で止まった。
理由はない。
ただ。
今触れてはいけないと思ったからだ。
・