Thriller
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部屋では、さっきと寸分変わらない立ち位置でなまえが待っていた。
自責の念を滲ませたままの暗い表情で、部屋に入る僕の笑顔を見つめている。
泣いていたのか、目元に擦った跡ができていた。
「…ごめんなさい、チャンミン」
声もさっきより少しかすれている。
僕はそれにも笑顔でしか答えないで携帯を手に取り、ベッドに座った。
僕の動きに合わせて視線を連れてくるなまえに「いいから」と笑って、また新しく来ていたメールを確かめる。
送信者:マネージャーさん
題名:今日
本文:ジュンス朝までです。
全員に一斉送信されているメールで、ジュンスヒョンが帰らない事を知った。
携帯を閉じる音すら大きく響く無音の空間。
顔を上げると泣き出しそうな表情に変わったなまえが、また謝った。
不安げな様子だ。
僕はさっきの3人の会話が脳裏をよぎって不快感を誤魔化せない。
祈って、祈って、でも裏切られたあの瞬間の感情がまたふつふつと湧く。
彼女を不安にさせているなんて嘘だと、僕はより笑顔を作るのに骨を折った。
「チャンミン…なんで、許すの?」
「許すも許さないも、なまえが悪いわけじゃないでしょう?」
「許さないで」
「だから」
「笑わないで、怒って」
僕が笑顔を作れば作るだけ、なまえの表情に不安が増していく。
どうしていいか分からず、笑顔を貼り付けたままの僕。
なまえのごめんという呟きが床に落ちた。
僕はとうとう笑顔をやめて立ち上がり、心もとなくうなだれるなまえの前に立って
できるだけ、優しい声を選んで告げた。
「…謝らないで?」
「………」
縋るように見上げたなまえの目が潤んだのを見た瞬間
僕の内側で暴れ出すものを抑えきれなくなる。
「許せなく、なるから…」
体を折り、手も触れずに唇だけで繋がる。
唇に彼女の抵抗にも似た驚きを感じて初めて、彼女の体を強く抱きしめた。
苦しげにもがく体を締める力に一切妥協をしない。
合わせた唇の向きを変えて、とうとう舌を伸ばした時
彼女が泣いていることに、気付いた。