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休みの朝、一番に見るのは携帯だ。
だいたいの休みと同じく、今日もとくに着信はない。
パチンと携帯を閉じ、思い立って部屋の掃除を始めた。
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先週から部屋に出しっぱなしだった物をあらかた所定の位置に戻したところで、細かい作業に移る。
まずは本棚に目をやり、前から捨てなきゃと思っていた雑誌の束を棚から抜いてブックエンドを端に寄せる。
雑誌や本において捨てていいものかの確認に時間がかかるのはご愛嬌で、まんまと30分もそれに費やした。
この雑誌達にそそのかされて買ったものがどれだけあるだろう。
クロゼットに目をやり、苦笑いする。
雑誌の束をビニール紐にまとめて、いったん手を洗った。
クロゼットの中はそろそろ季節を過ぎたものもまだ下がっていて、さすがに着ないだろう分厚いコートを手に取る。
これはクリーニングに。
まとめて出せるよう、何着か出して上に重ねていく。
そういえば去年買ったワンピースはどこにしまっただろう。
そろそろ出しておかないと、季節が過ぎたら着られなくなってしまう。
あれは雑誌にそそのかされた中でも服としては贅沢な買い物だった。
重ね着に向かないデザインで、だけどシフォンの柔らかな風合いがこの季節によくなじんで。
限られた季節しか着られない上に、年齢的にもあれを単品で着るのはそろそろ恥ずかしい。
年齢よりはタイプじゃないというのが大きいかもしれないが。
クロゼットを開け放したままで、ワンピースを探しに衣装ケースのフタをあけた。
わりかし無造作にいつも片付けてしまうので、余計な皺が入っているかもしれない。
何着かついでに取り出して、目当てのワンピースを見つける。
ああ、そう。これ。
この、いかにも女の子、という感じ。
自分には無い要素だなあと買った時にもさんざん思ったものだった。
よく踏み切ったものだ、と当時の自分に少し笑って、何着かの春物と合わせてクロゼットにかけた。
見た感じ余計な皺は無い。珍しく贅沢品の扱いをしたらしい当時の自分をもう一度笑った。
さて、と声に出し、コートに重なるアウターを腕を支点にくるっとたたんで、大き目の紙袋を探す。
偶然目に入ったテーブルの上のチョコを一つ口に入れ、チェストと壁の間に差し入れておいた袋を抜き出した。
ガサガサ収納しながら、今から出しにいくべきか、と時計を見ると短い針も長い針も一番上に集まっている。
どうりで口寂しいわけだ。
口の中のチョコを飲み込んで、クロゼットから明るい色のトレンチを選んで羽織る。
財布と携帯をポケットに入れ、紙袋と雑誌の束を持って外に出た。
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