Proof
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夜景の感想が聞けたのは、輝きの数が少なくなった午前2時頃。
彼女は「綺麗。持って帰りたいくらい」と、携帯に備え付けのカメラを窓の外に向けた。
僕はあらわになった彼女の肩にシーツをかけて一緒にディスプレイを覗く。
やっぱり色あせるわね。
そう言って彼女が諦めたとき、手の中で光ったディスプレイに彼女と同じ苗字が見えた。
長い指が綺麗にお辞儀をして、携帯が半分にたたまれる。
背面のディスプレイは変わらず光り続ける。
「…出ないでいいの?」
「ごめんなさい、嫌なもの見たって思ってるわね」
「ううん、ねえ、出ないんですか?」
「…出られないわ…ずるいことしないで」
白い胸元に滑り込んだ僕の額に唇を寄せて、彼女が甘く囁いた。
どうしてこんな大胆な行動に出られるのか自分でも分からない。
ただ、僕は今すぐ彼女の何もかもが欲しいと思っただけだ。
彼女を待つ誰かが忍び寄ろうとしたことなど関係ない。
けれど彼女の意識は、僕の唇に応えているようでいて、投げ出され 光るのをやめた携帯に向かっていた。
「ねえ」
「うん?」
「怖いですか?」
「……いいえ」
「ご主人にこの場所がわかる?」
「いいえ…」
だったらなぜキスに応えてくれないのと聞いてみた。
思ったよりも不満が募った声になる。
「…ほんとに、あなたって部屋に入るとワガママになるわ」
「はぐらかした」
「強情だわ」
「ごまかさないで、ねえ…どんなキスならいいんですか?」
応えて欲しいんだ。
僕だけに。
他に意識なんて向けないで。
貴女にとってのただ一人の男で居られるのは今だけなんでしょう?
急に彼女の笑みが薔薇のように色づく。
「それ以上喋らないで」
「ねえ」
「帰りたくなくなるから…」
僕の嫉妬のような感情を嬉しいと思ってくれたのだと、僕はその接吻けで知る。
とたんに僕の世界も彼女の笑みと同じ色になることまで、彼女は分かっているんだろうか。
彼女の作り出すその色を、僕がこの世で一番美しいと思っていることさえ。
「帰らないで…傍に来て」
「こんなに近くに居るじゃない」
「もっと、深く…」
その色のように
彼女を美しく感じていることさえ。