Opposite
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あー…笑いすぎてお腹いたい」
ユチョンはリビングのテーブルに突っ伏してぐったりしている。
ジェジュンヒョンは後ろのソファでまだ笑っていて、ユノヒョンは「笑ったらだめだよ」となだめているがその顔も笑っている。
僕が一番気に障るのは、振り返ると必ず目が合うチャンミンのニヤニヤした顔だ。
「……………」
なまえは、黙ったままでテーブルの向こう側にユチョンと並んで座っている。
うつむいているので表情は分からない。
僕が小さく名前を呼びかけると、ようやく顔を上げた。
「…ごめん、あたしが悪かったと思う」
まだ少し赤い頬を隠しもせず、ハッキリと発言する。
「なんでえ、ジュンスが勝手に勘違いして、バッ…バカなだけじゃん…っははは」
ユチョンが噛み殺しきれない笑いを交えてなまえに言った。
「そりゃね、あたしとユチョンの会話を立ち聞きしたのはジュンスが悪いと思うよ」
しかも聞いといて勘違いとか救いようが無い、と付け加えてなまえがため息をつく。
僕は恥ずかしさで何も言えない。
あの時
僕が立ち聞きしていた会話には、わざと抜かして喋っていた主語があったらしい。
それは
『僕の名前』
彼女が発言した『好き』には
『ジュンスが』とついていた、とユチョンは言った。
僕が一度目に泣かせた時にこっそり彼女を追っていったユチョンは、その時既に勘付いていたらしい。
いつも彼女にだけ過剰な反応を示す僕が、彼女を好きだという事も。
彼女が誰のために綺麗にしてきたのかも。
だから、僕が彼女を二度目に泣かせてしまった時、ユチョンは僕に一瞥をくれていったのだ。
不器用な奴、という、呆れた目で。
「…でも、サブとはいえマネージャーっていうあたしの立場で、それは絶対言っちゃいけないことだから」
「いいんじゃないっすかーって言ってるのに、なっかなか好きて言わなかったもんねー」
「よくないの、ユチョンが堂々とナンパするのを注意する権利や義務があるのと一緒。絶対あたしはそういうの許しちゃダメなの」
なまえは仕事の時の真剣な顔で強く言う。
「…でも…結局白状しちゃって、聞いてくれるユチョンに甘えてたくさん相談してたから…ほんと、悪いのはあたしです」
ごめんなさい、となまえが立ち上がってメンバーに頭を下げる。
「大体、あたしがそんな話してたんじゃ、そりゃユチョンだって恋愛してーってなるよね。あたしばっかり我慢してるみたいに言ってごめん!」
「え、かんけーないっすよ」
「ユッチョンはいつもあんなですよぅ」
つい発言した僕に、ユチョンが「ぅるさいっ」と憎たらしく言う。
「で?二人はどうするですか?」
いつの間にか笑い終えていたジェジュンヒョンが、急に話の核心を突いた。
ユチョンがびっくりした顔の後、ニヤニヤと笑う。
後ろでは恐らくチャンミンもニヤニヤしている。
…みんなの醸し出す雰囲気がいたたまれない。
どうしてみんなの前で言ってしまったんだろう。
これで付き合うとなったらメンバーには公認だけど…それはつまり四六時中ひやかされ続けるという事だ。
彼女にだけ理解できる言葉で好きだと言う手段があったならどんなによかったろう。
できるなら、周りの人間にだけ「嘘だ」と言ってしまいたい。
意地を張っていた頃の名残がうずく。
…でも
もうこれ以上、なまえを傷つける言葉は言いたくない。
言っちゃいけないんだ。
それでどれだけお互い傷ついたか。
遠回りをしたか。
…もう、回り道なんて考えない。
僕は覚悟を決めて、なまえをまっすぐ見た。
僕の視線になまえの目の光が揺らぐのが分かる。
ユチョンがニヤニヤして彼女と僕を交互に見ている。
きっと後ろの3人も同じ顔だろうことが分かるけど、僕は構わず言った。
「もう、意地悪いわないから…僕のになって?」
なまえの目に涙のような光が増えるのが見えて、僕は手を伸ばそうとしたけれど
思いがけない返事にその手が止まる。
「なりませんっ!」
ええ、と僕を始め全員が声を上げる。
「あのね、さっきも言ったけどあたしはマネージャーなの!サブでも立派なマネージャー!タレントと恋愛関係になんてね、絶ーーっ対、なりません!!」
なまえはテーブルを離れると、ユチョンに言った。
「もう二度とスタッフの子ナンパしたらダメだからね!」
しっかり釘をさすと、彼女は帰り支度を始めて玄関へ向かう。
皆はなんだよ〜とつまらなさげにソファやテーブルに崩れ落ちた。
僕だけが彼女を追って、宿舎の外に出る。