Opposite
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ユチョンとユノヒョンの部屋の前に行くと、ヒョン達二人が既に聞き耳を立てていた。
僕がその後ろに立つとジェジュンヒョンが振り返って、ダメ、という風に首を振り、僕を遠ざけようとする。
ユノヒョンが、し、と口の前に人差し指を立ててジェジュヒョンの動きを制した。
「なんで?仲良くなるのだめ?」
「そういう事言ってんじゃないの」
「俺、自由じゃないの?」
「そりゃ自由だよ?」
「じゃーなんで?止めるの?」
「…あたしは言う権利と義務があるから」
中から漏れ聞こえる二人の会話は確かに、以前の僕が聞いたら泣き出すか黙り込むかしそうな内容だ。
ジェジュンヒョンが僕の頭を撫でてくれる。
心配そうな顔しないで、と僕は囁いた。
「わかんないよ、なにそれ?」
「…ねえ、あたしだってバレないように我慢してるよ?知ってるでしょ?なのにユチョンがそんなじゃ…」
「なまえとの秘密は守ってるよ」
「…、でも…別の女の子との秘密はダダ漏れじゃん」
「携帯の交換だけだよ、なにもないよー」
「なにもないって…そうじゃないでしょ。あたし、チーフから注意されたんだよ?ちゃんと見てろって」
だんだんと声を荒げるなまえの様子に、ユノヒョンはいつでも飛び出せるように耳をそばだてる。
飛び出してしまいそうなのは僕もだ。
ユチョンの言ってる事が理解できない。
どうしてそんなになまえを傷つけることばかり言えるのか。
これ以上傷つけるつもりなら、僕はいつだって飛び込む用意ができていた。
「携帯交換したからってそんな怒らなくていいのに…」
「怒ってるんじゃないの、心配してるんじゃん」
「心配することないってえ」
「あのねえ」
「もー、なまえには関係ないじゃん、なまえとの秘密はバラさないからあ」
「ユチョンいいかげんに…」
「いーかげんにしろっ!!!」
二人が僕を振り返る。
ヒョン達を押しのけて入ったので、僕の足元に二人が崩れ落ちている。
僕はそれを無視してずい、と二人に詰め寄った。
「…なに、ジュンスぅ、うるさい」
「なまえに謝れっ」
「ちょっとジュンス、やめて、ちょっと!」
「なまえに謝れっ!」
「も、ぅるさいジュンス、関係ないだろー」
ユチョンが面倒くさそうに僕ごとなまえを追いやろうとするので、僕は思わずなまえの肩を奪い、ユチョンの手からかばった。
なまえが一瞬悲しそうにユチョンを見る。
僕はそんな顔を見たくなくて、そのままなまえの頭を自分の胸に押し付けた。
胸が高鳴り始める。
聞こえないよう肩を突き放したさっきとは違って、僕はその音を聞かせんばかりに強く抱く。
ジェジュンヒョンが後ろで感嘆の声を上げているが、無視して僕はユチョンに言葉を叩きつけた。
「ユチョンがなまえのこと傷つけるだったら、もうユチョンには返さないからなぁっ!!」
「はあ?」
ユチョンが眉をひそめて僕を見ている。
なまえが僕の胸を押し離そうともがき始めた。
僕は、内側から叩かれるあの衝撃や苦しさに比べたら大した力の無いその手を掴んで握りしめる。
何かを言うなまえの熱い息を胸元に感じて、僕は離したくないと強く思った。
暴れるなまえの体をさらに強く抱くと、腕の中に確かに彼女が居る喜びで吹っ飛びそうな頭をフル回転して、必死に言葉を生み出す。
「なまえ、泣かせるだったらもう、僕がユチョンからなまえをとる!!」
「え、なに、なんて」
戸惑っているわりには呑気な声を出すユチョンにも分かるよう、僕は決定的な言葉を探して、叩きつけた。
「ユチョンより僕の方がもっと、なまえのこと、愛してますよぅ!!」
ハッキリと発音したその言葉がユチョンまで届いたと表情で確認すると同時。
一番近くで聞いていたなまえの体から力が抜けるのを感じた。
「…うん…知ってるよ…え、…で?」
「え?」
ユチョンの思いがけない返事に、僕の腕からも力が抜ける。
僕の腕の力だけで支えられていたなまえの体は、僕が力を抜くと重力のままズルズルと落ちてぺたん、と座り込んだ。
「で…え、でって…でってなんですかあっ…」
「あー、や、やだ、わけわかんない、なにこれ…」
ユチョンの返事に戸惑う僕の足元で、なまえが泣き出した。
「あ、泣かしたあー今泣かしたのジュンスだよ。俺知らなあい」
「ユチョンっなんでそんな…っ恋人にそんな風に言われたら泣かないわけないだろっ!!」
「恋人って誰え」
「ユチョンじゃないんですかあ!」
はあ?というユチョンの顔。
僕がさらに食ってかかろうとすると、足元で泣いていたなまえが僕の手を下から引っ張る。
「なに、言ってんのかわかんないんだけど…」
なまえの言葉に僕は混乱して、誰かに助けを求めようと後ろを振り返る。
ジェジュンヒョンもユノヒョンも座り込んだままポカンとしていて、いつの間にか来ていたチャンミンだけが、あー、なるほど、と笑った。
…なにが、なるほど?