Opposite
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僕は抱き寄せてしまいそうなほど力のこもった手でギュっとなまえの肩を握り締めて、もう片方の手で勢いをつけてスタジオのドアを開けた。
「早くユチョン呼ばないと撮影間に合わないですよぅっ」
なまえをグイ、と中へ押しやる。
早く、早くユチョンのところへ。
僕の胸が、張り裂けて戻れなくなる前に。
「え、あ、そっか、ユチョ…………あ………」
急に気の抜けた声に、僕は思わず正面を向く。
なまえの視線の先を見て、離そうとしていた肩の手に力が入った。
「えっと、ここ?」
「ちがうちがう、ここ、この黒いとこ…あー来た来た、じゃああたし送るね」
「おー、うわぁメール早いなぁー…」
「…ユチョン…」
なまえが呟いた名前を持つその男は、スタッフらしき女の子と携帯の先をくっつけ合って笑っていた。
アドレスを交換しているのだとひと目でわかる。
僕が掴んだ肩が震えて、なまえがうつむく。
ユチョン、どうして。
なんで。
きっと僕と同じ言葉がなまえの中で巡っているはずだ。
いや、もっとひどい言葉かもしれない。
なのになまえは恨み言など何も言わず、ゆっくりと僕の手を外してユチョンの元へ歩いていった。
女の子はそそくさとユチョンのテーブルを後にする。
ユチョンは悪びれもせず携帯を持ったままなまえを迎え入れて、二言三言話すと僕の居る入り口に向かってきた。
「あっジュンスぅー、衣装また変わったんだあ」
「…ユチョン…」
「着替えてこよー」
僕の投げかけた視線に怯まず、いつもどおりの笑顔でスタジオを出て行った。
胸を叩く鼓動は もう消えている。
僕は、胸を掴んで確かめた。
最期の力を振り絞った恋が、閉じ込めたフタをこじ開けてしまった
その事実を。