I spill milk again
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マネージャーさんの乗る車は事務所に向かって走っていった。
「俺が居ないからって夜更かしするなよ」と子供に言うように告げたマネージャーさんに、俺は苦笑いするしかなかった。
毎日修学旅行のような5人をまとめるマネージャーさんは大忙しだ。
マネージャーさん、ほんとに申し訳ないけど、今日は少し夜更かしになるかもしれません。
だってさっきジェジュンが言ったんです。
『で?なまえ何時に来るの?』
って笑顔で言ったんです。
俺は凍った背筋が割れた気がしました。
まさか聞こえてたなんて。
恐怖のあまり、なまえに送信したとおりの文面しか言葉を紡げなかった俺の口のバカ!
おかげで宿舎に入る頃には4人とも「今からなまえが来る」という共通の話題で和気あいあいとしてました。
いや、どうせ宿舎に来るんだしみんなにも言うんだけどさ。
もうちょっと、俺の心の準備ができてから言いたかったというか…
ぶっちゃけ、邪魔すんなよ、とクギを刺したかった。
刺したかったのに…
「いやー、こんなところにエロ本落ちてるうう!」
「うはんはん!!!」
「今からなまえさんが来るっていうのに最低ですね」
「や、やめて…俺の部屋にエロ本持ってこないでチャンミン…同部屋なんだからジェジュンも嫌なら捨てて…」
完全に呑まれてる俺、ガンバ!!!
「ザ・巨乳」と書かれた雑誌をまじまじと見下ろして「…きょ、きょ…ち、ち?」と呟くユノの漢字力もガンバ!!!
俺は雑誌をチャンミンの部屋に返して(怖くて本人に返せませんでした)とりあえず気持ちを落ち着けようと自分の部屋のベッドに座った。
俺がなまえに言わなきゃいけないこと、なまえが俺に言うだろうことを順に並べる。
俺はまだ、なまえが好きだよ。
『私はまだユノが好き』
うん、諦めなくていいよ。
『でもユノはジェジュンの恋人だから、諦めなきゃ』
ユノがジェジュンと付き合ってるなんて嘘だから諦めなくていい。
そこまで綺麗に順序だてて、俺はなんとも言えない気持ちで押しつぶされそうになる。
こんなに好きなのに、俺はなまえを諦めなきゃいけないんだな。
ユノはきっと、彼女が自分を諦めたと思っている。
俺が彼女を好きだという時点でなまえを射程範囲内に入れてもないだろう。
だったらなまえの恋を助けてやらなきゃ。
こんなに好きだから、なおさら。
俺が、味方になってやらなきゃ。
「いやーあ、こんなところにエロDVD落ちてるうう!」
「うはんはん!!!」
「今からなまえさんが来るっていうのに…」
「チャンミン、も、いいから。それ持って部屋帰って」
…俺に味方は居ないけど。
なまえを応援すると決めたからにはそんな弱音を吐いてられない。
俺は「ザ・爆乳」と書かれたDVDをチャンミンに持たせて3人を部屋から追い出した。
「ユノ、悪いんだけど俺なまえと部屋で話したいからジェジュン部屋に連れてってよ」
「ちょっと、子供みたいにい!邪魔なのお!?」
「邪魔なのっ!ユノ、お願い」
「ん?ああ…」
ジェジュンの言葉に強めに返して、ぐいぐいと3人を押し出す。
それを見ながら生返事をするユノの口は、DVDに書かれた字を読んでいる。
「ば、ばく、はつ…」
「………ばくにゅうだよ…ユノ…」
なまえ…ほんとにこの男でいいの?
俺はDVD片手にジェジュンから読み方を教わるユノを見て、応援する気持ちが折れそうになるのを全力で支えた。