I spill milk again
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携帯の中、輝く送信済メールを見る。
『うん』
そう書かれた昨晩の俺のメール。
行き先はなまえ。
俺はまたやってしまった。
重大な決意をまた、気まぐれなメンバーに惑わされて下してしまった。
…逆恨みのような気もするが、恨んでくらい居ないとやってられない。
『なんじにいけばいい?』
なまえからのそのメールを見たのは仕事を終えて帰路に着くバンの中だった。
仕事を終えた後にも関わらず車内で元気に話しかけてくるジュンスの笑い声が響いてうるさい。
ジェジュンはユノと一番後ろの座席でなにやら真剣に話している。
チャンミンは助手席でデジカメの機能をマネージャーさんに教わっている。
他に話す相手が居ないとはいえ、ジュンスはなぜこんなに元気なんだ。
確かに昨晩俺が帰る頃には、ネトゲを終えて満足した4人はもう寝ていた。
マネージャーさんが「よしよし夜更かししてないな」と褒めていたが、おかげで仕事を終えたバンの中でこんなに元気になるくらいなら、いっそジュンスだけでも夜更かしさせて体力を奪って欲しい。
「ジュンスうるさい。考え事してるから少し黙って」
「うはんは、ん、ユチョン携帯光ってますよ〜」
「もーいいから黙ってって」
はっきり言葉をかけても悪びれもしないジュンスが隣から覗き込んでくる。
ジュンスをよけながら開けた新しいメールもなまえからだった。
『へんじなかったから、ちかくのえきまでもうきてます。きょう、ほんとにいってもだいじょうぶ?』
ああ、逃げられない。
俺はそのメールを前にうなだれる。
「あ〜!!これ、あの子…!!」
「じゅんっジュンスうるさい!!!」
ジュンスがその隙にメールを覗き込んで嬌声をあげた。
慌てて口を塞ごうとするが、こんなふうにテンションの上がったジュンスはしつこい。
後ろでジェジュンが「うるさい」と振り返ったようだったが、言うだけで助けてはくれない。
チャンミンに至っては気にも留めずデジカメで車外を試し撮りしている。
「いまから!?ユチョン、んぐ、い、いまから!?」
「うーるさいっ」
口を塞いでも喋ろうとするジュンスはほんとにしつこい。
なににそんなにテンションが上がったのだろう。忘れていたくせに。
「ユチョ、へ、んじ、きょうですっかあ!?」
「だーまーれええええ」
なまえの名前を見て着々と1週間前のことを思い出しているらしいジュンスの口を塞ごうと俺も必死になる。
後ろではジェジュンが「もーなにぃ」とまた振り返っているがやはり助けてはくれない。
チャンミンに至っては「あー暗いとこはこうして撮るんですねー」などと車内でシャッターを切っている。
「ああ、えきっえき、通り、ましたよ!いまあ!なまえいま…」
「うるさあああああああああああああい」
シートの上に転がっているので窓の外など逆さだろうに、目ざとく駅を見分けて「居ましたか!?」と興奮するジュンスに乗り上げ、声をかき消そうと叫ぶ。
その俺の頭を掴む手が後ろから伸びてきて、ジェジュンが言った。
「お前がいちばんうるさいよ」
「す、すいません…」
優しいハスキーボイスに背筋を凍らせたのは俺だけではなかったらしく、家に着くまでの5分間はチャンミンの「へー」という声と共に鳴るシャッター音だけが車内に響いていた。