I spill milk again
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「ただいまー」
「…おかえり」
メールを返せずにひとしきり落ち込んでいるとユノが控え室に入ってきた。
一人ずつの撮影なのに、後の3人はみんなスタジオで他人の撮影にチャチャを入れあっているらしい。
底抜けに能天気だ。
俺は撮影にチャチャを入れてきたとしても無視するつもりだ。
「次、誰?」
「3人とも終わっただからジュンスかな。お前が最後だよ」
「そっか、ユノはスタジオ居ないでいいの?」
「うん、ちょっと話したいことあるだから帰ってきた」
「ん?」
「…ユチョン…なんか悩みはない?お前が元気ないと俺も心配だよ…」
俺は椅子から転げ落ちそうになった。
この男らしくも空気の読めないリーダーは1週間前のことを本当に忘れているらしい。
配慮できてるようで肝心のところをスッポ抜かしてくるあたり究極に無神経といえる。
…なまえはなんでこの男がいいんだろう。
もちろんここまで俺たちを引っ張ってきてくれたのはユノだ。
俺たちはこの欠点以外に男として尊敬できるいいところをたくさん知っている。
でもなまえは?
俺と会うまで俺たちのことも知らなかったらしいし、惹かれる要素が見当たらない。
どうしてユノじゃないといけないんだ?
携帯を握り締めてふつふつと沸く嫉妬を抑える。
心配そうに俺を見つめるこの男に悩みなんて言えそうもない。
「…なんでもないよ」
俺は必死に嫉妬を抑えた結果、反抗期の長男(中2)のような返事をしてしまった。
ユノはそっか、と呟いて苦笑いする。
「ユチョン、待ってるだからな」
どうやら言いたくなるまで放っておいてくれる気らしい。
…本当に子供なのは俺だな。
分かってるのに今は頷けそうにない。
ごめん、ユノ。
俺は会話を流すようにわざと気の無い返事をして背を向けた。
そして携帯を見てため息をつく。
『うん』
そう書かれた未送信のメールを見つめた。