I spill milk again
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しんとしたリビングで、それは確かに聞こえている。
「……ちが……そこ………」
「…がう…?…ここ…わ……ない…?あい…してる?……」
「……おれも……こっち…は…」
途切れ途切れの声から聞き取れる単語は確かにあやしい。
後ろを振り向くとなまえはまた真っ赤で、口を押さえていた。
…笑っているのだろう。たぶん。
素直で可愛いと思う反面、何が嬉しいのか理解できなくて困惑する。
大丈夫か、俺の愛。
頑張れ、俺の愛。
ふう、とため息をついて気持ちを落ち着ける。
「…ユノ、ジェジュン、開けるよ」
一応礼儀だと思ったので声をかけたが、現状をありのまま変えられないよう素早く部屋のドアを開けた。
「わっかんないなー…あ、ほらこっちのページみってえ、愛してるからって意味だよ…ん、なにユチョン」
「俺もわかんない…おお、なまえちゃんこんばんは」
「こんばん、は…」
二人はじゅうたんの上に寝転がったまま首だけで振り返っている。
その間には2冊の本。
ぱた、とユノに閉じられた本のタイトルは『緊縛・愛ゆえに』。
こんな字が読めちゃった俺、万歳。
ジェジュンの手元にあるのは日韓の言葉を訳する辞書のようだった。
「……なに、してんの」
「ユノが漢字弱いからあ、勉強しようていって…」
「その本…」
「両方チャンミンに借りてきただけど…」
俺は二人の会話の正体に安堵するより先に、マンネのおませさんぶりが心配になった。
「……話し終わったの?」
ジェジュンが口を開くと同時に辞書を閉じて、2冊をまとめながら起き上がる。
ユノも体を起こしてそこに座った。
「ん、うん…まあ」
「えーじゃあなまえにバレちゃったんだあー」
面白くなーいと心底残念そうに上がったジェジュンの声がリビングにまで響いて、ジュンスが部屋から顔を出す。
なんですか、と同じ部屋からチャンミンも顔を出していた。
「じゃあユノに告るの?いま告っちゃう?」
そんな風に言われて告れるか。
なまえに投げかけられたジェジュンの不躾な台詞を遮って、俺はなまえを振り返った。
真っ赤な顔のなまえは、ジェジュンに向かって「いやいやいや」と手を横に振っている。