ツンデレ
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今から1ヶ月前。
事務所ビルのエレベータ前に、見かけない女の子が居た。
ピピピ、と甲高い音を立てる携帯から慌てて耳を離して、ピーと鳴ったきり静まった携帯を呆然と見つめている。
見かけない女の子だったけれど、妙に見覚えのある顔。
いやでも、知り合いではない。
僕は念のため顔を隠してエレベータを待った。
チン、と軽い音を立てて開いたエレベータに乗り込み、入り口の方を向くと 彼女が乗ろうか迷っている風だった。
「……乗りますか?」
「あ、え、えっと…んー…」
エレベータホールの奥にあるフロア案内を見比べて、彼女はまだ迷っている。
「えっと、いいです…どうぞ」
一歩下がって手を差し出し、譲られる。
僕は一礼だけして「閉」を押した。
若い子だったな。
間違いなく10代。
でもなーんか見たことあったんだけどなあ〜〜〜
眉間に皺をたくさん寄せながら思い出そうと努めたけれど、分からないまま事務所のある階に着いた。
またもチン、と軽い音を立てて開いたエレベータの向こうに、さっきと同じ顔が立っている。
え!?
なんでまた一階!?
僕は慌てて着いたフロアの階数を確認する。
8階。
あれ。
じゃあこの人誰?
まじまじ見ながらエレベータを降りる。
ああ、なんだ。
顔が似てるだけで全く別人のオバサンじゃないか。
ていうかいつも居る掃除のオバサンだ。
挨拶しなきゃ。
「コンニチワー」
「あ、どうもー、お疲れ様ですー!…やだわーなにこれ…」
小さな脚立の上で、雑巾片手に「おかしいなー」と携帯で何度も発信している。
その横を、挨拶しながら通り過ぎた。
ん?
事務所に入る前に立ち止まる。
えーと…
僕は振り返ってオバサンに聞いた。
「携帯、繋がらないんデスか?」
「あ、ええー、なんだか…かけても電波が無いとか…こんなにあるのに…」
携帯には「こんなに」と表現されたとおり3本も線が立っている。