寂しそうに太陽が沈んでも
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「いいよ。謝んないでよ…」
「ああ、ごめん、ごめん…」
「いいのに」
昨日、私が残業を断ってこの寝室に帰り着いた時には、ユノはもう今朝と同じ体勢で居た。
私が約束の時間に1分と遅れず帰り着いたのに、結局二人の時間が持てなかった事を詫びているのだ。
くせがついて四方へ跳ねている髪に指を通す。
指を包むユノの髪はその感触すら優しい。
その優しさをたっぷり味わっている私の手をユノが握り
「優しいな、なまえは」
そう、膝に向かって囁く。
独り言のような言葉に、私はまた苦しみを味わった。
許してあげたい。
実のところそれだけの気持ちで許している。
二人の時間が
1ヶ月前も
その1ヶ月前も
何ヶ月も何ヶ月も
ずっと私に与えられないことなんて
ユノという存在の尊さに比べたら責められるわけも無い。
元気でいてほしい
笑っていてほしい
だから、許してあげたい。
それだけの気持ちで支えている私の存在を、ユノにさとられてはいけない。
「…時間は?」
「少ししたらシャワー借りて、そしたら行くよ」
「じゃあご飯作ろうか」
「……なまえ、おいで…」
媚びるような声。
受け止めた頭からドロリと溶け出しそうなほど、急速に彼が欲しくなる。
大きな手を伸ばされると、熟れた果実のように顔が崩れ落ちてしまいそうだった。
欲しい
欲しい
閉じ込めて
独り占めにしたい
「…だめ、ユノ…時間、無いんでしょ」
「すこしだけ」
「目覚まし、もう30分も前に止めたでしょ」
「なまえ」
「だめ……」
下の唇が先に触れた。
上唇よりも丸い、弾むような唇。
けれどそれは私の唇じゃなく、背けた顔の、頬にぶつかっている。
「なまえ、こっち、むいて」
「後で、ね?」
うなじにかけられた手のひらはやはり大きい。
指の一本一本に支えられた頭を、預けてしまわないようこらえた。