Weekend shuffle
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
どこかから咳き込む声。
煙で白く霞む空間。
大きな回転で天井からかき混ぜる空気がおれの意識を混濁させる。
目の前の君を
抱いてしまいたいと思わせる。
・・・・・・・・・・・・
Weekend shuffle
・・・・・・・・・・・・
『それが兄弟にも等しい友人の恋人を見る目ですか』
そう、チャンミンに言われてしまったのはこんなになってしまうもっと前だ。
あれはいつだったか。
ユチョンが久しぶりにできたという彼女を毎日のように自慢していて、痺れを切らしたおれが相手を連れて来させた頃。
おれの耳には全くと言っていいくらい羨ましくは響かなくて
いやまあ人のノロケなんてうざったくはあったんだけど
どっちかといえば
こいつ、そんな女選ぶとか大丈夫か?
こんなに依存して、やばいんじゃないのか?
明らか、騙されてるだろ。
そんな心配が先立ってしまうくらいだった。
だって奴の彼女は
『出逢った場所は深夜のクラブ』
『ナンパから助けてあげたのがきっかけ』
『朝には抱き合ってました』
なんて
『じゃあもうそのまま最後までいっちゃって後から口約束でもいいんじゃないの』
くらいの始まりだったのに
どういうわけかその日の晩にはフラれてて
だけど今ではまたなぜか恋人という関係になることができていて
それがまた最後までいっちゃって後から口約束というパターンでの成立だったりして…
おれから言わせれば
「お前の彼女、どんだけ悪女だよ!」
そう!
それ!
そのとおり…
…あれ?
誰?いま、おれの言いたいこと代弁してくれたの。
「…ジェジュン…すごく酔ってる?」
「ん?え?」
「今の寝言?」
「あれ?」
そうなの?
おれなの?
ああやばい
意識レベル、ものすごい、低下してる。
思ったことが口に出ちゃうなんて
もしかして、さっきの衝動まで口に…
「ユチョン遅いねー。大丈夫かなー」
出しては無い、のかな?
すんごいふつー。
この、なまえっていう子は、おれに初めて会った時から
数ヶ月経つ今日までずっと
ずーーーーっと
すんごい、ふつー。
おれとしては、可愛い弟に変な虫がついてんじゃないかなって心配と
ハマりやすいとはいえユチョンが聖女だのと褒め倒す子ってどんなかなって興味と
どっちにしてもおれが見定めてやんないと、みたいな兄心と
そんな、値踏みするような目でこの数ヶ月見てきたのに
今日に至るまでずっと、なまえはふつーで
裏なんて見えなくて
見ようとすればするほど表のとおりのなまえばっかり見ちゃって
それが
ユチョンの言うとおり聖女みたいな優しさだったり
かと思えば飾らなかったり
ほんと、ふつーで。
なんだったら、なまえに出会ってからのおれの方が
『それが兄弟にも等しい友人の恋人を見る目ですか』
とか
『あなた最近変ですよ、浮かれすぎてませんか』
なんて台詞を
チャンミンに言われてしまうくらいで
…正直
なまえが聖女か悪女か
誰の彼女か
なんて
今日の
今の時点では
もう、どうでもよくて…
「あっジェジュン、ちょっと!前髪前髪!」
「んっ…」
「グラスに入る!」
ああ、手。
なまえの手のひらが、おれの顔、支えてる。
かぶりを振ったらしいおれのあごを指先が持ち上げてる。
正面から伸びた優しい片手に、包まれてる。
あ。
なんだか
もう
煙でぼやけて
なんもわかんないから
もう
いいや。
1/4ページ