white curtain
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そうなのだ。
私には自信が無いのだ。
私にできるのか?
人生を分かち合う喜びを彼に受け入れてもらえたとして
本当に私にそれができるのか?
全くの偶然で選ばれてくる者との間にすら、その喜びを分かち合えるのか?
「…………」
「…………」
声にできないまま明るい窓に目をやり、そらした視界の端で彼が唇を舐めたのが見えた。
乾いた唇の上半分を素早く舐める、いつもの彼の仕草に視線を戻すと
「…………」
「…………」
素早く
唇が重ねられて
私は
目を開けられなくなって
「……なまえ…ずっとお、一緒に、居て…」
「……え……?」
午後の仕事を蹴り出してしまいそうな誘惑に、引き止める理性も遅れたのか声がかすれた。
だめだ、と答えなければならなかったのに
だめだ、と答えなければならないのに
「どこも、いかないで、ずっと…」
「ユチョン」
「しぃー……ね、おれとお…」
「ユチョン」
「結婚しよう?ね?」
だめだ と
言わないで、よかった
そう、彼の顔を見て思った。
目尻の柔らかい影
明るい陽射しに消されたアウトライン
頬は暗い中でも幸せな色をして
「ねえ、大事にするから」
「あ」
「なまえも、子供も」
「…え…」
「だから、産んでえ?…もう、隠されるの、悲しいから、もっと頼って」
「ユ、チョン…」
まだ丸みすら見せないお腹に添えられた手。
ブレスレットを光らせて、輪郭にあわせてまーるくなぞる。
私が選んだのでも
ましてやユチョンが選んだのでもない
全くの偶然でここに居る命。
その輪郭を、まーるく、まーるく。
「おれが全部、受け止めるから、なまえ#はおれを受け入れて?」
「ユチョン」
「………返事、して」
その手が
全部知っていたと笑う顔の前まで私の手を持ち上げ
艶やかな唇まで、薬指をつれてゆく。
優しい感触の口づけに、私の抱えた不安は全てほどけて
ただ
愛されればいいのだと
受け入れればいいのだと
今までと
やっぱり何も変わらないのだ と
「……はい」
「うん」
「…ユチョン、ありがとう」
「うん」
思い知らされた安堵の後
こんな、ただ連綿と続く毎日の中の朝に用意されていた
三人分の幸せを
そっくりそのまま 抱きしめた。
END
3/3ページ