white curtain
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ユチョンの、見かけよりも固い体。
腕の中は分かりやすい温かさで、条件反射で体を預けてしまう。
自分の足で立っているようでそうでは無い感覚は、安堵と不安をないまぜに詰め込まれたようだと私に思わせた。
「…どうしたのー」
「……………」
いつの間に寂しくさせてしまったんだろう。
ユチョンが黙っている。
不安にさせるような事を言ったろうか。
一通り自分の発言を思い返すけれど私には思い当たらない。
ユチョンがこうして無言になって
寂しさを押し隠して
言葉にしてくれない時、私はいつだって申し訳なく感じる。
寂しくなっている状態に気付くことはできても、どうして寂しいのかは分かってあげられない。
寂しさを与えたのが自分だとしても、気付いてあげられない。
自分で選んだユチョンというパートナーにでさえこうなのだ。
そうでなければ
全くの偶然で選ばれてくる相手とならば
私がいったい、何を分かってあげられるっていうんだろう。
「ユチョン?冷蔵庫しめちゃうよ?ちょっとだけ、後ろ下がろうか…ね?」
「……………」
要求には反応してくれる。
一歩あとずさるユチョンに体重を連れられ、私も後ろへ下がった。
冷蔵庫を閉めると、少しゆるんだ腕の中で体を回した。
「ユチョーン…?ん?」
「……………」
柔らかそうな頬。
はねた髪の絡みつくのも気にせずに両手で包むと、ユチョンの目はさっきよりしっかり開いていて、私をずうっと見つめている。
いつも寂しがる時のように
怯えたように背けたり
恥ずかしそうに伏せたりはしない。
なのに何も話さず、ふっくらとした唇は乾いたままで閉じている。
初めて見る表情に胸が締め付けられた。
止まったような時の中
彼の背後、リビングを越えた白いカーテンの向こう
窓の外の明るい朝がやけに美しい。
ああ、今すぐユチョンに教えてあげたい。
泣き出しそうなあなたにも
振り返れば美しいものがある。
あなたの哀しみがそれにも映えて美しいから
それが私には何一つ悲しくないと、そんな大きな幸せを教えてあげたい。
それをこれまで分かち合ってきたのだと
これからも分かち合っていこうと
こんなただ連綿と続く毎日の中の朝にさえ用意されていた幸せを、そっくりそのまま渡してあげたいのに
「……………」
「……………」
言葉が
外に出ようとしてくれない。
目の前の瞳に訴えかけてでも
目の前の唇に触れてでも
伝えないといけない事のはずなのに、声にできない。