white curtain
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ほんとはずっと怖かった
求められてるものになれるのかな?
好き勝手に生きてきて
好きな人を好きと言って
受け入れられるだけの関係に満足してきた自分が
初めて
自分が選んだのではない人間を、受け入れなければいけない。
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今朝もコーヒーはブラックで
その強い香りに辟易しながらも、起きてきた彼に挨拶をした。
「おはよう、ユチョン」
「…おはよ………あ・あー…眠う……」
ぐるーっと首をゆっくり回して、言葉以上に眠そうな空気を漂わせながらユチョンが椅子に座る。
淹れたてのコーヒーを前に置くと当然のようにそのマグを口に持っていった。
最初の頃のときめきは
今やこんな風にして彼と私の生活の礎になっている。
出会った時と変わらないとは言えないが、私は今でも彼の仕草の一つ一つを愛おしく思っている。
回した首の、はねた髪が絡みつくうなじや
マグを持つ手首の筋張った関節まで
どこも、昔と変わらない。
私の視線を奪ってやまない。
「今日、休み?」
「んー…なまえはあ?一緒?休み?」
「仕事。午後からね」
「うそお…休みい、ねー休みでしょー…」
さも寂しいのだと眉を下げて見せるのは、実は本当に寂しいわけではないともう知っている。
彼が本当に寂しい時はもっと心を閉ざしていて、一人にされると知ろうものなら、この世の終わりのように無言になるのだ。
だからこんなふうに甘えられると私は安心する。
置いていっても大丈夫だと
離れていても大丈夫だと、信用されているのが分かって。
「ねえ何食べたい?朝ごはん」
自分のマグにはミルクをついで、ユチョンの前に座った。
ユチョンは話題を無視されたと唇をとがらせながら、テーブルに体を倒して両腕を伸ばしてくる。
その目は無視された状態すら楽しげに細められ、目尻を柔らかく閉じているので、愛情が伝わってることに私も安堵して両手を軽く握ってあげた。
「卵焼く?昨日食べたいって言ってたでしょ」
「たまご!」
「焼く?」
「卵焼く!」
「卵焼き」
わざと言葉を知らない風に話しているのを分かっていて、言葉を教えるかのように振舞った。
そんな扱いは心地いいのだろうか。
喉を鳴らして笑ったのが、テーブルを震わせて私のもとへ届く。
ブレスレットをしている方の腕をするっと撫でてやり、立ち上がった。
「あんまり食べないよね。後はパンだけでいい?」
「ごはん!」
「たいてないよ」
「パン!」
聞き分けがいいねと笑うとまた喉を鳴らした。
些細な遊び。
「………さっ。早く作らないとお腹減って動けないね」
私にとってそうでは無くなるかもしれない事が頭をよぎる。
今までずっとそうしてきたように些細な遊びの顔をした。
お腹を撫でながら、ペコペコ、と呟いて すぐ傍のキッチンに立つ。
「なまえ〜…」
「んー…?あっ残りご飯があった、食べる?」
「うん、ねー仕事何時い?」
「そー…ねえ12時くらいには出ようかな。ちょっと早いけどお昼一緒に食べようね」
「うん………」
急に、両腕の外側に腕が現れる。
見たと思った時には、冷蔵庫の前のヒヤリとした空気から私の体は守られていた。
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