ころがる林檎
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「おいなまえ」
「よびすてすんな」
「携帯玄関置きっぱすんな」
「いった、…投げんなよ、もー!」
「あと、お前ら見るの気まずいから、朝早く来ないで」
「今日のはたまたまジェジュンが早く」
「先輩じゃないから。…チャンミン」
「………」
部活を終えて帰ってきたユチョンが私の部屋のドアを開け、反抗期よろしく携帯を投げつけてくる。
チャンミン。
その名前を他人の口から久しぶりに聞いた。
今朝も会ったのに。
毎日忘れることはないのに。
ユチョンがよく遊ぶ友人の面子を変え始めた頃から、チャンミンを家に呼ぶことは無くなった。
その時には私もチャンミンとの関係が終わっていて、おおっぴらに付き合ってると公表していたわけではない私に、チャンミンについて話す人は居なくなった。
「チャンミンとは…挨拶、ぐらい、しか」
「知ってる。それ、気まずいからって言ってんの」
「………」
「もーさ、ほんっとめんどくさい」
「…ごめん」
「うっざ!謝るかそこで!お前もー消えろよ!!」
ユチョンが私の背中を足の裏で押す。
ほんと、いつもバカにされて、いつもなら言い返すけれど…
チャンミンのことについてユチョンに言い返したことは一度も無い。
「あのさー、ジェジュン先輩とはうまくいってんでしょ」
「………、たぶん…」
「いやヤったんでしょ昨日」
「言うなよ、ユチョンキモい」
「うるせえよ。お前、なにをさー、引きずることあるわけ」
「………」
「まじ、気まずいから。あと、キモいのお前だから」
ユチョンは知らない。
私がチャンミンとどんな関係を築いていたか。
ジェジュンが最初に言った「弟の友達をポイ捨てした」という言いがかりが、ジェジュンにとっての「歌手かホスト」発言と全く同じ、火の無い煙だけの、ユチョンの思い込みだということも。
引きずっているとか
未練だとか
そういうことではないのだ。
私はチャンミンが忘れられない。
ただ、そういう事実がそこにあるだけだ。
それはいつ、事実じゃなくなるのか分からない。
訪れた別れは私と彼の二人で決めたことだ。
どちらかが一方的に捨てたわけじゃない。
私が彼を捨てたなんて あるわけもないのに。