ころがる林檎
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私の悔し涙がキレイだったと、忘れられなかったと、ジェジュンは初めてのキスの後に言っていた。
「でも、じゃあなんでいっつも怒らすようなこと言うのって。ほんとに意味わかんないよ」
「…だからあ…怒ったら結局こーして、構ってくれるじゃあん…」
何度聞いても小学生みたいな理由だ、と素っ気なく言うともう一度口付けられる。
いつもこうだ。
何気なく口付けたり、本気で言い合いをしたり、かと思えば強引に抱きしめられて無理やり決着させられたり。
どの時もジェジュンは見たことのない表情を私に見せて、だからこそ、ジェジュンとの毎日は派手だ。
それはもう、私自身が追いつけないくらいに。
そうしている間に辿りついた昨日という日。
実は私はまだ昨日にも追いつけていないのだと思う。
ジェジュンの腕の中で、たぶん今までより大人の女性になったはずの昨日。
だけど、今もうつむけば私の足は幼い男の子のようで。
やっぱり、恥ずかしい、と私はジェジュンを教室から追い出した。
文句を言うジェジュンは登校してきた生徒を廊下の逆端に見つけると、ほんとに最後、と頬に口付け廊下を走り出す。
こんな経験は初めてで、だけど 走り去る背中にずっと続いていた既視感をみとめてしまった。
朝の密会。
人目を盗み逃げていく背中。
この教室でした、初めてのキス。
それは私にとって 本当に 初めてのキスだった。
「チャンミン…」
呟いて、振り返る。
今はここに無い私と彼の関係が、窓際に焼きついているような錯覚がした。