ころがる林檎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
のけぞりかけた私の体を両腕に抱かれる。
今まで一度もそんな風にはしなかったのに、眉をひそめてしまうほど窮屈な抱擁。
かき抱かれたうなじで、チャンミンの指に絡む乱れた髪。
目の前にあるのは私の覚えているチャンミンの肩なのに、感触は全く違った。
「チャン、」
「僕は子供だって知っていました。今でも、きっとまだ」
「っ」
「だから大人になって、あなたを戸惑わせない男になりたかった」
「……、」
「どうして僕を待っていてくれないんです」
「、チャ」
「どうして僕はあなたでないとだめなんだ」
「…っ」
「……あなたは、……僕をそんなふうに、思ってはくれないのに…」
涙が溢れた。
これは私が一番聞きたかった言葉。
たった数週間のチャンミンとの日々の間
ずっと、聞きたいと望んでいた言葉。
チャンミンは 私と同じ気持ちでいる
それが分かったのが、どうして今なのか。
今日より以前の出来事がスルスルと巻き戻り
嘘のように笑いあえた今日のことも
泣きながら坂を降りた日のことも
初めて口付けたあの日のことも
いつか手のひらにとった砂のように 零れ落ちて、戻らない。
…私は泣いた。
お互いに望んでいるのに、手を取りあうことを誰も止められないのに
ただ好きな人と、初めて体を分かち合う今が こんなにも、悲しい。
泣きながら抱かれた。
チャンミンの汗が涙のように頬を伝って、私の素肌に落ちる。
それは感じたことがないくらいの重さで、強く私の胸を打って
たった一度きりのこの瞬間を
一生、忘れない予感がした。